聖剣の刀鍛冶  11 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 11.Woman】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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代償と、覚悟。キャンベルの血。
ルークの変調をリサから明かされたセシリー。ルークは頑なに隠そうとしているが、セシリーとリサは互いに彼を支えることを心に誓う。ルークとの関係をどのようにするべきか悩んだセシリーは母に、亡き父との馴れ初めを聞くことにする――。一方、軍国ではゼノビアが付き人のシャーロットとともに城を抜け出し、大陸を包む不穏な空気に萎縮しかねない市井の声を聞くべく街中へ繰り出していた。また他方、帝政列集国のフランシスカは、主に従属する魔剣の定めをヴェロニカから見出そうとしていた……。穏やかな日常の中で覚悟を固めていく女たち、心底に銘を切り、居並ぶ!!


Congratulation!

おめでとう♪ おめでとう♪ 

前巻の感想で、ルークの頑固さは難儀の一言で、もうセシリーが何とかしないと何ともならないよ! というセシリー頼みの結論に至ったわけですが……見事にセシリーがやってくれやがりました。
この女、頼もしすぎる。期待に十全応えやがった。あのどうしようもないくらい面倒くさい男を、本当に一人で何とかしてしまいやがった。まさに、あらゆる意味での英雄である。
まる一年ぶりの待ちに待った新刊なのに、内容は短篇集だったので正直ガッカリした感は否めなかったのですが、あとがきでも触れられていたように、この聖剣シリーズの短篇集ってガリガリと本編の話が進むんですよね、忘れてた。

今回はサブタイトル通りに、女たちの物語。女は強し、である。セシリーの両親の馴れ初め話は良かったなあ。セシリーの母親であるルーシーさんは、これまでは病弱で儚げながら厳格で上品、シャーロットたちが滞在していた時には母親らしい抱擁感を見せていた事もあり、もっと温厚な人だと思っていたんですけれどね……間違いない、この人セシリーの母親だわ(笑
もう行動力が普通の女性のそれから外れまくってる。まさか、父親との関係がルーシーさんの押し押しだったとは。なんかセシリーって二親のとんでもない面をかけ合わせて出来上がったような娘ですよね、こうして見ると。未熟だった頃はその特性が悪い方に出てしまい、なかなかに始末の負えない小娘になっていたけれど、精神的にも能力的にも成熟してきた今となっては、その特性ゆえに殆ど無敵に等しいレディと化してしまったわけで。えらいこっちゃやで。
イラストの屡那さんがまた素晴らしい仕事をしてらっしゃって、若いころのルーシーさんとチェスター・キャンベルがまたホントにセシリーにそっくりなんですよ。

あとは、ヒルダとヘイゼルと銘無しの非番の日を通して、不穏な空気に包まれる都市の雰囲気を伝える話。そして、軍国でのシャーロットたちの活躍。シーグフリードに恋をする魔剣の話と、三本立て。
この中では軍国の話が良かったですね。シャーロットたちが軍国に亡命してから、どんな風に過ごしているかは、多少伝え聞いてはいたものの、実際はどうなのか伝聞だけだと分からない部分もありましたしね。あのゼノビア相手にちゃんとやれているのか、と思ったら案の定、シャーロットって苦労性だ(苦笑
部下の三人娘だけでも色々と面倒な性格しているのに、その上さらにゼノビアというとびっきりのトラブルメーカーが乗っかってきたわけで……まあこれ、シスコンのきらいもあるようで。可愛い妹の苦労はなるべく引き受けてあげたい、という愛情が感じられるのです。余分な苦労も多分に引き受けてしまっている気もしますが。それでもまあ、充実した日々を送れているようで安心しました。

さて、最後の話こそこの巻の目玉にしてクライマックス。正直、セシリー舐めてました。というか、そこまでやるとは想像できんよーー! 一足飛びすぎるわーー。参った。完全降伏だ。これは敵わない。これが女の強さだ。覚悟を決めた女性の無敵さだ。覚悟を決めた女に、男如きが太刀打ち出来るはずもないのだ。
だから、贈れる言葉は1つだけ。

おめでとう♪

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