覇道鋼鉄テッカイオー (集英社スーパーダッシュ文庫 は 6-1)

【覇道鋼鉄テッカイオー】 八針来夏/Bou スーパーダッシュ文庫

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第10回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞! 最強の童貞あらわる! 銀河を揺るがす武侠たちの大バトル!
心身を極限まで鍛え、兵器をも超えた力を持つ存在・武侠。
童貞のみが使える強力な武術『童子神功』を使うカザンは、ある時、相棒の美少女・ルゥランと共に海賊から一人の姫君を助ける。
しかし、同時に海賊の背後に控える恐るべき敵の存在を知ることとなる。
カザンたち『銀河武侠』の最大の敵対者『暗黒武侠』が姫君・アルフェミナを狙っていたのだ!
しかもその男・グントラムは、カザンとルゥランの人生を狂わせた原因ともいえる、宿縁の相手だった…!
銀河を揺るがす武侠たちの戦いが、いま始まる!
第10回SD小説新人賞大賞受賞作、堂々刊行!
おおおおおおおおおっ、ちょーー面白れぇ!!
銀河武侠ですよ、銀河武侠。宇宙を舞台とした武侠ものを目の当たりにする日が来るとは。ただでさえ武侠ものそのものが滅多とないのに、スペオペで武侠モノが読めるなんて、なんて幸せ! 星方武侠アウトロースター以来じゃないかしら。いや、純粋に「武侠」らしさでは此方のほうが一途に濃い。武門の繋がりや技や武術に対する精神性。秩序と混沌という正邪を背負った社会性。生真面目に破天荒をやらかす荒唐無稽なハチャメチャさ。意外とこの手のガチな武侠小説らしさを盛り込んだライトノベルってあんまりなかったんじゃないだろうか。思い出せる限りでは、虚淵さんの【鬼哭街】くらいしか咄嗟に思い浮かばないや。或いは、本場中国の金庸の作品とか。
お陰で、どこか古臭さを匂わす作風が逆に新鮮に感じてしまいましたよ。最高じゃね、これ?
童貞じゃないと力を発揮できないという強大な武術、という設定からして素晴らしく頭が悪いんだが、ちゃんと主人公に意地や見栄や拘り、或いは最強になりたいという求道者としてではなくこの武術を捨てられない理由があったのには感心させられた。極めてアホな設定であるのに、お陰ですこぶる主人公が格好良く見える要素になってるんですよね。彼のブレない一途さは非常に格好良くて、心揺さぶられる。
そりゃこんな男前相手じゃあ、ヒロインもメロメロだわー。
カザンとルゥランの関係は、もう完全に熱々の恋人同士。ヒロインのルゥランがまたエロエロでおちゃらけた天真爛漫な娘なんだが、この子はこの娘でカザンに一途で内側はピカピカの乙女なんですよ。ここまで可愛らしい子に全身全霊で愛されたら、そりゃ男の子だったら頑張っちゃうわ。ぶっちゃけ、童貞というだけでそれ以外は何も不自由してないんじゃないか、コヤツ。イチャイチャベタベタブチュブチュ、傍から見ててご馳走様としか言えないくらいにずっとラブラブだし。正式に交際初めてしまったら、たとえ死んでも我慢できねえ、絶対押し倒す。と息を荒らげながら宣うルゥランえろすぎですw
もうこの二人には割って入る余地が全く存在しないので、一応ヒロイン枠であるところのお姫様アルフェミナは殆どツッコミ担当という割り振りに。いや、これがなかなか切れ味の良い、というか独特のノリのツッコミで、お姫様生き生きとはっちゃけてたりするのですが。それにツッコミしかしてねえ、というわけではなく、ちゃんとお姫様らしく攫われたり、過酷な運命を前に甘えを廃して成長したり、と一人のキャラクターとして十分以上に動いてくれているので、これはこれでキャラ立ってるんだろうなあ。
一方で、敵キャラも単なる悪役ではなく、ルゥランの父親の仇でありルゥラン自身を蝕む厄災の原因であるという仇敵でありながら、思わぬ背景も明らかになり、単純な憎悪を以て相対する敵に当てはまらない複雑で奥行きのある関係へと発展していったので、わかりやすい勧善懲悪物から逸脱した味わい深い読み応えのある筋立てになってて、これは私の好みドストライクでした。
いやあもう、大賞取ったのも納得の素敵極まるエンタメ作品。とにかく痛快で愉快でびしっと一本芯の通った大宇宙活劇でございました。勿論、続編は期待してもいいんですよね!?