おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! (富士見ファンタジア文庫)

【おおコウスケよ、えらべないとはなさけない!】 竹岡葉月/奥村ひのき 富士見ファンタジア文庫

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「カップルとか見ると、蹴り倒したくなるよね」中学2年。津賀昴介が出会ったのは、物静かだけど重度の恋愛アンチな天野井螢。モットーは「恋バナには釘バット制裁!」。命知らずにも、そんな螢に惹かれていく昴介は、文化祭での告白を決意。けれどもその当日、彼女は姿を消してしまう―。「コースケのこと…好きなんです!!」高校1年。昴介の前に現れたのは、螢と見た目そっくり。でも、性格は正反対な宮沢彗という女の子。昴介に急接近してくる彗だったが―。そっくり過ぎて、どっちがどっちの螢&彗。間違えたらGAME OVER!?ここからはじまる“究極の選択”ラブコメ。
これは、確かにタイトル詐欺だよなあ。絶対に勘違いするよ。
中学時代の前半を野球に注ぎ込んでいたものの、怪我をきっかけに野球への情熱をなくし、打ち込むものもないまま何をするでもなく一日をダラダラと過ごすだけだった昴介が偶然出会ったのが、本好きの少女・螢。彼女に無理やり押し付けられた一冊の本をきっかけに、読書の楽しみに目覚めた昴介は彼女を中心とする本の虫仲間との交流を経て、螢に恋をしてしまう。

こっからの展開は、サラっと書かれている割に内容はよくよく見るとかなりヘヴィなんですよね。失恋も出来なかったという意味でも、昴介の傷心は大きく深くえぐるようなものだったはず。
そんな彼の前に現れた彗は、名前も性格も全然螢とは違うのに、その容姿は間違いなく螢そのもので、混乱の上に過剰に拒絶してしまう昴介の気持ちはよくわかる。これは、どう受け取っていいかわからないよ。螢には告白できず、何も出来ないまま唐突に居なくなられて、傷ついた心をどう慰めたらいいか分からず途方にくれているところに、螢とおんなじ姿をした別人が現れて、ニコニコと人懐っこく寄って来られた日には、受け入れるのも螢への気持ちを蔑ろにしているような気持ちになるし、かと言って拒絶するのは何の罪も関係もない彗への罪悪感が募るし、自分は何をやってるんだろうと自己嫌悪に陥ってしまう。まあ、思わず昴介は拒絶してしまうのだけれど、それでまた傷ついている昴介が何とも可哀想で。彼は何も悪くないのにねえ。そんな、別人だなんて割り切れないよ。
実際……これ、本当に螢と彗が別人なのかは明言されてないんですよね。
もしかしたら、もしかしたらだけれど、螢が彗という別人を演じている可能性もある。彼女が消えた理由を思えば、結果として昴介を始めとする友人たちにしてしまった仕打ちを思えば、彼らの前に螢として顔を出せなかった、ということも考えられなくはない。それでも、長く友達付き合いすれば絶対にバレると思うんだが。
何れにしても、螢はまだ彼女の事情に纏わる諸々が伏線として敷かれたまま明らかになっていないので、螢という人物が再登場するのは間違い無いと思うんだが、果たして彗と同時に出るか、はたまた入れ替わりの形で登場するかで真実の一端が確認できそうだと思うがどうだろう。

何れにしても、この一巻は完全にプロローグですね。まず、舞台が整えられたところで、話が動き出す前の段階。準備が済んだところである。
果たしてこの後、コウスケが迫られる選択とは何なのか。単純にどちらも好きになってしまったけど、どっちを選ぶ? みたいな二股清算の話なんかにはならないでしょうし。
ともかく、次の巻からが本番でしょう。螢と彗だけじゃなく、二人の存在に途方にくれているコウスケの背後で、密かに陽炎を立ち上らせているクララさんが色々とヤバい感じがほとばしりすぎてて、ワクワクドキドキw