それがるうるの支配魔術  Game3:ファミリアル・リドル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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学園内で最近語られる“三不思議”。中途半端な数字だが、実際に被害者も出ていて、ネット上の『噂屋』でも色々情報が出回っているらしい。「不思議=特別な魔術=兄への手がかり」という方程式を確立したるうるがその話を聞いたら、また面倒なことに「タマキ、調べにいくの!」…なっちまったようだ。しかし調査しているのが、欧文研を目の敵にしはじめたアイツのバレるとマズイのだが?不思議の中に巧妙に隠された真実とは!?―。
やっぱり面白いなあこれ。このお話では、相手との対決はゲームのルールを確認しあい、号令に寄って始まるものではなく、相手によって規定されたルールの中に取り込まれる事で既に始まっていて、主人公たちはまず自分たちが知らないルールを押し付けられている事に気づかなくてはならず、気づいても相手が規定したルールの内側から、一体何が現実を歪めた間違いなのか、を探り出し見つけ出さなければならない。この間違い探しが抜群に面白いんですよね。普通のまちがい探しと違うのは、範囲指定をしてくれないところ。一体どの段階から誤認が仕込まれているか、まるでわからない。場合によっては前提から既にひっくり返されていた、なんてことすらあるのだから油断も隙もあったものじゃない。
虚々実々入り混じる、何が嘘で何が本当かわからない日常の中で、タマキたちがこれだけは揺るぎない正答だと信じて拠り所にしているものが、欧文研の仲間同士の絆だ。もっとも、それとて幾つモノ上書きされたルールに寄って真実は覆い隠され、想いはすれ違い、正しいものであるからこそ背を向けなければという脅迫観念に突き動かされることもある。言わば、これが想いの間違いなのだろう。それを一つ一つ、それは違う、誤認である、と指摘して歪められたルールを打ち破り、真実を取り戻しているのがタマキであり、この作品の一巻一巻の物語の根幹なんだろうと思う。一巻のるうる。二巻の碓氷。そしてこの三巻の言乃といった風情に。実のところ、その想いの誤認を破ることについては、タマキの魔術の理を破る能力によるものじゃないんですよね。勿論、彼の能力は事態を打開するのに必要不可欠なものであり、切り札として作用しているものですが、言乃たちの想いの誤認を破ったのは決して能力による作用でもなんでもない事は、犬海丸という少年の魅力の理の一柱として覚えておいていいものだと思います。
特に、らしくない言乃の様子に苛立ちをあらわにしていたところは良かったなあ。もうね、彼の中には言乃という少女はこうあるべきだ、という理想像があるんですよ。それはある意味勝手なイメージの押し付けではあるんだけれど、時のその押し付けって大事だったりするんですよね。その人が、自分を見失っている時などは特に。
タマキは決して押し付けがましい人間じゃないんだけれど、ここぞという時に強引になれる、というのはなかなかカッコいい男だと思ったのでした。
そりゃ、深い付き合いの相手には、男女を問わず慕われるわ。盲信ではなく、全幅の信頼を寄せられる相手って、掛け替えのないものですもんね。

注意深く読んでいると、作中のあらゆるところに伏線やキーワードが仕込まれていて、ピースがハマると途端に大きな景色が広がるような……なんというか「ぶわっ!」と視界が広がる感覚が凄まじい解放感を得られて、気持ちいい作品なんですよね、これ。真相が明らかになった時の、すとんと腑に落ちるロジカルな充足感。まさに謎解きの醍醐味です。
あとは、もうちょっとラブコメ濃度が増えてくれるとなおよし。今回は言乃がメインだったことで逆に言乃さんがそれどころじゃなくいっぱいいっぱいだったので、いつもの言乃のエロ可愛さが堪能出来なかったからなあ。
ただ、今回で言乃のくびきがなくなったことで、より積極性が高まったのではないかと思われるフシがあるので、今後の攻勢が楽しみすぎるのですよ、はい。

1巻 2巻感想


ザ・スニーカーウェブにて、るうるの短編が掲載されている模様。今回は本編になかったルールザ・ルールのお話だそうですので、まずは一舐めしてみますか。