ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 2 (電撃コミックス)

【ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 2】 作画:長田馨/原作脚本:芝村裕吏 電撃コミックス

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5121小隊との接触で、速水厚志への憎悪を隠さない秋草。
その夜、熊本のはずれに中型幻獣・ゴルゴーンが突如出現した。
戦闘へ向かう小山率いる歩兵小隊のバックアップとして、神楽&秋草の愛機・騎魂号がついに動きだす!
これは、まさしく正史に連なるガンパレシリーズだ。一巻を読んだ時はあまりにガチに固められたミリタリー関連の設定群から、ある程度榊涼介版ガンバレの世界観も踏襲しているのかとも思ったのだけれど、若宮が年齢固定型クローンとして登場したこと。速水厚志が第六世代クローンの偽物であること(これは、榊版も同じみたいだけれど)。
そしてなにより、その精神性。
どこかのだれかの未来のために
地に希望を 天に夢を取り戻そう
われらは そう 戦うために生まれてきた

この無残とも言える気高さは、正しくガンパレードマーチの世界そのものを描いていると言える。榊版も基本的には一緒なんだけれど、あちらは正義が優しさと良心によって形作られた救いを勝ち取った世界へと移行しているので、ちょっと違うんですよね。正史のガンパレードマーチは、むしろ正義も愛も友情も人間としての誇り高さも、すべてが「悲劇」へと繋がっているような終端を前にした美しさ、或いは永遠永劫に続いていく儚さを内包している。
くそったれな現実がぶちまけられた血反吐のように張り付く戦場の中で、幻獣と人間が殺戮し合い、鏖殺し合う血みどろの地獄の中で、なおも高らかに正義を謳い、弱きを助け、仲間を守り、戦い抜こうとする兵たちの健気さは、見方を帰れば狂気そのもの。そんな狂気を肯定し受け入れて、ささやかな殺し合いの合間の平穏の中で笑いあい、死地へと帰っていく少年少女たち。
この常に「救われなさ」を背負った泥臭さこそが、ガンパレードマーチ、だったんだよなあ、というのを懐かしく思い出した次第。

一巻ではチラリとしか出番のなかったもう一人の芝村の姫、神楽がついにその姫たる力を指し示す。それは常軌を逸した情報処理、分析能力。膨大な情報を五人の小隊員たちの神憑った整理と入力により、一挙に入力。そこから導き出される分析結果は、ほぼ未来予知に等しい確定予測。アナリストの極み、といったところか。彼らの働きは、常に人類側が幻獣群の動きの先手を取る事が出来ることを意味している。これは物量で圧倒された上に、防御側として常に攻撃のイニシアティブを幻獣側に握られている人類側にとって、一軍にも勝る戦力だ。自分たちの計算能力は一個師団に匹敵するという自己評価は、過少なくらいだと思うぞ、これ。
そして、何より神楽はやっぱり芝村だよな、これ。決め台詞というか、発する言葉がいちいち流麗で高揚を誘ってくる。

友軍(とも)を護れ。火蓋開け(オープンファイア)。全火器使用許可(ガンパレード)!!
抜刀突撃!(アールハンドゥ・ガンパレード!!)
此処ぞという時の戦争シーンの熱さは折り紙つき。やっぱりこのセリフ回しは痺れるわー。

舞の姉でありながら、芝村を離れて妹の事は過去のことと言い切る神楽。速水厚志を偽物として憎悪をむき出しにする秋草。騎魂号での戦いのシーンでも、5121小隊を意識した発言もあり、どうも、5121小隊に対して様々な因縁をもっているようで。ちらりと舞と速水を始めとする5121小隊の面々も登場しているのだけれど、スピンオフとして完全に別部隊の話になるのではなく、色々と裏や表で複雑に絡んだ話になりそうだ。

1巻感想