アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈4〉 (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 4】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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もう、独りぼっちの“零”のままでは、いたくない。

 東京内戦の跡地で俺たちは、“零”の災厄の数、カラスと出会う。彼を見て動揺した安藤照子さん──アンデレはその晩、俺の家を突然訪ねてきた。
「……一緒に行ってくれたら、1つだけ何でも言う事聞くって言ったら……?」
 アンデレと来た地下には雪名もまた、出生の秘密を探るために来ていた。「誠一君は、どうしてアンデレさんと一緒に来たのかな?」モジモジする雪名と共に、俺は地下深くへと向かう。
“数”の異能力バトル、第4弾!
こ、この小動物はヤキモチの焼き方まで小動物ちっくで愛らしいなっ!! その内心の吐露は、殆ど告白「誠一くん大好き!!」と叫んでるのと変わらないという自覚と認識をもっとちゃんと持ちましょうウサギさん。ここまで愛くるしい告白をされてしまうと、同じ女性でも参りましたと言いたくなるわな。わりと、相談されてしまった加苗に同情したくなる。そんな風に相談されたら、幾ら雪名と誠一の関係に複雑な思いを抱いていても、ちゃんと応えてあげないと自己嫌悪で耐えれなくなってしまうがな。

実のところ、雪名に限らずこの作品の女性陣は多かれ少なかれちんまい可愛らしさで構成されているので油断できない。最初はえらく硬い雰囲気で登場した親父さんの後輩の女刑事も、打ち解けてしまうとお姉さん風を吹かせながらも妙に少女チックな所のある人だと発覚してしまったし、新登場のアンデレもつんつんと取っ付き悪いタイプかと思いきや、むしろ迂闊系のチョロい妹タイプだったりと、何気に庇護欲を掻き立てられるヒロインが揃えられているなかなか珍しい作品だったりする。とは言え、小動物タイプが揃っているとはいえ、足を引っ張られたり、此方の都合も考えずやたらつきまとってきたり、内罰的で鬱陶しかったり、という事はみんなないんですよね。それぞれがちゃんと自立した上で、思わず守ってあげたくなるようなオーラを発しているのである。つまり、上目遣いがよく似合うヒロインばかりなのだ。これは堪らん。
アンデレさんは特に傾向の違うタイプのヒロイン登場かと見ていただけに、まさか妹系だとは予想外だった。てか、誰だよこのダメっ娘を執行官に選出したのは! 戦闘能力が基準値満たしてても、さすがにこの迂闊でドジっ子で安直でリカバリー利かない性格の小娘では、執行官業務務まらんだろ。向いてないから、全然向いてないからw ディエゴの方が、あんな戦闘マシンで対人スキル皆無っぽい執行官だったから、てっきりアンデレが社交まわりの担当かとも登場時には思ったんだけれど、あの迂闊さじゃあいらんことまで口走って全部台無しにしてしまいそうだし。というか、今回見てたら普通にディエゴで外回り対応できてるっぽいんだが。強面で無口だけれど、むしろ交渉能力とかは普通にアンデレより出来るっぽいんだが。
……やっぱり、他に居なかったから仕方なくアンデレに選ばれたんじゃw

彼女の能力だけを見ると、走行中の電車を反動も何もなく簡単に静止させたのを見ても、使い方次第ではディエゴの能力よりもよほど応用が効いて使い勝手もよく、強力そうなんだが、果たしてアンデレさんでどこまで使いこなせているのか。
今回の敵であるカラスの「零」の能力は、殆ど反則近い能力なんだが、ようは使い方次第なんだよなあ。言うほど、カラスの能力自体がアンデレやディエゴ、そして雪名の力と比して飛び抜けているとは思わない。それが絶対的な力の差となって現れてしまっているのは、やはりカラス個人の力量なのだろう。数の災厄の力に目覚める前から、近代戦争の戦場において、単体で戦局を左右するまでに至る【パーフェクト・マーダー】の忌み名を冠するに至った戦闘センスこそが、彼の強みであるはずなのだ。でなければ、あれほど歴戦のディエゴがああも簡単にあしらわれるはずもない。雪名は殆ど無敵近い力を有しているけれど、彼女も決して戦闘経験が豊富だったり、相応の訓練を受けているわけではないから、差は大きいんだろうな。
ただ、それはでも誠一も変わらないっちゃ、変わらないわけで。今回はアンチリテラルとしての機能で不意打ちをつけたから撃退出来たけれども、果たしてそう何度もうまくいくものか。数の理論を応用して敵の能力を解体し、攻略法を見つけ出す、というスタイルが素で最強に近いカラス相手には通じないというのはなかなか辛い所。果たして、次回以降どう対処していくのか。誠一がアンチリテラルとして覚醒してしまったところが、逆に彼の智謀によって事態を打開する展開を崩してしまう形になりかねないので、結構判断が難しい所なんじゃないだろうかしら。

アンデレさん、順調にツンデレさんとなって誠一の方に寄りはじめているけれど、彼女、カラスに対してはあくまで身内という意識なんだろうか。過去のエピソードを見ていると、単純に兄への思慕とは言い切れない気もするんだが。カラスの方もちょっとわからんよなあ。裏切りの理由はともかく、彼なりにアンデレのことを考えていながら、わりと本気で殺しても構わない様子で攻撃仕掛けてきているし。根底で何を考えているのか見通せないというのは、カラスというキャラを判断しづらくしていて、うん面白いね。

今回は通してみると次への繋ぎの回、と言った風情で普段よりも盛り上がりには欠けた感もあるが、そのぶん次回以降には期待したい所ですね。

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