101番目の百物語 5 (MF文庫J)

【101番目の百物語 5】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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「わたしもモンジくん好きだよん♪」南の島で水着バカンス!?
一文字疾風、通称モンジは、ある日突然『百物語の主人公』になってしまった、ちょっと普通じゃない高校生。従姉妹の理亜を無事に自分の物語にしたモンジは、一之江やキリカたち女性陣と一緒に、テスト休みに詩穂先輩の紹介で南の島に遊びに来ていた。詩穂先輩への告白の返事待ちという状況を抱えつつも、楽しいひとときを過ごすモンジ。だが、単なる『主人公』からひとつの『勢力』になったモンジに、新たなロアが迫ってくる。さらに、『8番目のセカイ』の『管理人』の秘密も明らかに……!? サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメ、水着回の第五弾!
あれ? あれれれ!? これは虚を突かれたぞ。てっきり、先輩こそが全部お見通しで裏から色々と画策していた黒幕だと思い込んで疑っていなかっただけに、この展開にはわりとビックリ。
ってか、前巻最後のモンジくんの告白に思いっきり動揺しまくってる先輩がちょっと可愛すぎるんですが。先輩なら自分がロアである事実をモンジくんに見抜かれていた事すらも織り込み済みで余裕かますと思ってたもんだから、「えええ!? なんでバレてるのぉ!?」と内心で慌てふためいてしまってる先輩の狼狽える様子が不意打ちすぎて物凄い威力に。
うははは、さすがだ。この冒頭のやり取りだけで一発でヒロイン戦線の最前線に転がりだしてきたぞ、詩穂先輩。
まあ、あとでモンジくんの説明を聞いていると、先輩がロアだと気づくだけの要素はちゃんとアンテナさえ立てておけば十分気付けるくらいの質量はあったといえばあったんだよなあ。ただ、脳天気なモンジくんがそれに気付けると思わなかっただけで。その点、読者であった自分も先輩もまだまだモンジくんという男の子の抜け目のなさを見誤っていたということなのだろう。純情一途の能天気だけじゃあ、主人公は務まらん、ということなのね。
そんな自分が想定していた主人公像を上回る思わぬ一面を見せられたことで、不覚にもときめいてしまう詩穂先輩。ああ、駄目だ。その時点で陥落しております。

ともあれ、先輩にまつわる三重にも及ぶ重ねがけのナイショの秘密は、先輩当人が自覚し忘却させられていた事もあって、完全に把握し損ねていた。そりゃそうだよなあ、てっきり一人の意志と行動に基づくものだと思っていたあれこれが、これほど重なって入り組んでいた上に、主体となる彼女に認識が欠けてたんだから。ダブルならまだ漠然と見通せたかもしれないけれど、トリプルだったとはさすがに予想外だった。
しかし、まさかの二千年問題かー。あれって都市伝説だったの!? と、大して気に求めておらず詳しいところを把握していなかったので、ロア扱いは意外な限り。そも、その伝説の発端が先輩だったというのは大技も大技ってなもんだけれど。
ついにラスボス登場、って事になったのかしらこれ。この調子だと倒すラスボスじゃなくて、目的が篭絡になりそうな勢いなんだが、そう言えばモンジくんってロアを倒すんじゃなくてこれまで篭絡し倒してきたんだから、別段やり方は何もかわらないのか。
此処に来て、【千夜一夜物語】の主人公たる妹ちゃんを取り込んだおかげで、一個の勢力として確立してきたらしいモンジくんたち。氷澄くんらも、ある意味強固な同盟関係と言っていい関係になってるし、確かにこれは巨大な勢力となってきた、のかもしれない。
戦闘単位としても、上手く住み分けが出来てきた感じですしね。理亜たちは同等の戦力を保持した別方面軍、鳴央も一人で戦局を左右できる独立軍。音央は逆にモンジくんの傍らで剣を振るう騎士の役で、魔女たるキリカは常に助言と支援を約束してくれる軍師兼相棒役。そして一之江は絶体絶命のピンチでもモンジくんを守り切る切り札中の切り札。上手く役柄が分担されて、機能していることが今回の戦いで証明されたんじゃないだろうか。
ここに先輩と管理人が加わって、どう発展するかは次の巻のお楽しみ、ってところでしょうが。
ところで、モンジくんの本命ってつまり先輩だった、みたいな流れに見えてうやむやになってるんだが、結局先輩からOK貰ってしまった以上、彼らの関係ってどうなるんですか? いや、何も変わりそうにない、というのは相変わらずなんだけれど、ここで何も変わらないとこのまま進展もなさそうなんですが。モンジくんが暴徒化でもしない限り。ちゃんと自分の気持をはっきりさせたんだから、あとは無茶苦茶やってもいいんじゃね? 具体的にはキリカさんの誘惑に負けちゃったり、先輩の色気に負けちゃったり、妹の懇願に屈してしまったり、一之江のツンを突破してしまったり。
そろそろキリカさんの魔女属性が炸裂してついつい裏切りスキルを発揮してしまいそうなウズウズ感が見えたり見えなかったりするので、程良く良い感じに裏切って戻ってきてもらえるように、もうちょっとドツボにハマるぐらいの男気は見せるべきだぞ、モンジくん。

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