魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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テリトアールに陣を進めたティグルたち。そこに、ガヌロン公爵の配下、グレアスト侯爵が現れる。不躾な恭順命令を断るも、エレンへの執着を隠そうともしないグレアストに、ティグルは内心穏やかでない。間をおかずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し、事態は急変する。団長は、ブリューヌ最強の騎士ロラン。戦姫の技すら破る“不敗の剣”を前に、ティグル軍はかつてない危機に陥ってしまう。“光華の耀姫”ソフィーヤの助けで辛くも窮地を逃れるのだったが、エレンを庇った傷でティグルが倒れてしまい……!? 血風と光波が戦場を駆け抜ける刻、黒き魔弓は解き放たれる! 大人気美少女バトルファンタジー、心を射抜く第3弾!

なんと、ロランほどの人材をこんな風に使うのか。これほど巨大なキャラクター、それこそただ辺境に置いておいて何もさせなくても大きな影響力を発揮するはずなのに、大胆なことをするなあ。逆に言うと、それほどの大きな存在だからこそ、こういう形で片を付けてすら、今後に大きな影響を残し続ける、という風にも捉えられるのですが。
彼が置いていったものをどう扱うかも気になるところですし。これって主人公が使うようなものじゃないですし、戦姫たちも同様。と言うことは、これに相応しい人物が現れるということなのか、それとも既に傍に居る人が使うのか。居るとすればリムくらいなんだが、正直彼女じゃいくら何でも力不足だろうしなあ。どうするんだろう、これ。勿論、本来の用途ではなく御印として扱うには十分なのですが、それだけに限定してしまうにはあまりにももったいない代物ですもんねえ。
ということで、此処に来て辺境の最前線を守ってきた精鋭騎士団と対峙することになってしまったティグルたち。地味にこの時代(に限らないが)の軍隊が戦力を保持したまま駐屯し続けることの困難、さらには異国の軍勢との混成軍故のトラブルなど、本来なら避けては通れない難事をきっちり書いているあたり非常に好感高い。
たとえばドイツの三十年戦争なんかを見るとよく分かるのだけれど、中世から近世にかけての欧州の軍事活動というのは兵站関係がえらいことになってて、極言するとこの頃の軍勢はイナゴの群れみたいに補給物資を求めてさすらう集団みたいになってて、最終的には軍事的政治的な目標よりも軍の飢えを満たせる土地を優先して目指さなくちゃならなくなるという本末転倒な顛末まで繰り広げられたり。
そんなこんなで、略奪、というのは重要かつ正当な補給手段として認知されているのがこの文明レベルの時代背景なのですが、それでもそれが自国内で、となると話は違ってくるわけで。
それを自分の派閥の貴族の土地じゃないから、と遙々と大貴族たちが許可し、それどころか恩賞として与えようとするあたり、国内の乱れっぷりがよくわかるというものである。もはや王権が破綻しているという紛れのない証左ですよ。この点、同じ国内での争乱が平然と行われているジスタートの方がまだ、戦姫同士の衝突を逆に王権維持の為に利用しようとしている所でマシだと言える。まあ、国王の器量からして果たして御しきれるものかと疑問符がつくところだけれど。
ともあれ、そんな感じの部分も踏まえた上でちゃんと戦記ものやってるんですよね、これ。ナヴァール騎士団がこっちに出張してきたことによる大きな波及効果も、後々明らかになったりしていますし。
単純な戦場での戦術運動のみならず、もっと大きなグランドデザインに基づいて戦争を描いているあたり、相当にやる気ですよ、MF文庫なのに。

しっかし、これはまたどう決着つけるのかしら。ブリューヌ王国も今回明らかになった極秘情報からして、とてもまともな手段では落ち着かないだろうし、どうやらジスタートの方も戦姫全員がティグルに味方することはないっぽいのが明らかになったし。そも、ティグルがどういう立場に立てるか、というところが肝なんだよなあ。ラストの展開も、彼の行く先に大きく影響してくるんだろうか。一旦、彼女が離れたというのもティグルの存在がエレン抜きで世間に注目されるために必要なプロセスだったのだろうし。
さてさて、ブリューヌもジスタートも国内が纏まらず勢力図がわやくちゃになっているところに第三国も介入してきたことで、盛り上がって来ましたよっと。
恋愛模様の方も、もうリムさんが完全にデッレデレで。最近ティグルのこと甘やかしはじめたんじゃないか、この女w 周囲にも嫁候補と捉えられているみたいだし、でも噂知ってしまっても今となってはまんざらじゃない態度取りそうだなあ。そうだったら、もう末期ですけれど。
あとエレン、ディグルのこと自分のものだとちょっと主張しすぎです。手ぇ出したら噛み付きそうな勢いですし、それもあからさま過ぎますってw

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