ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編

【ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 5.冥門編】 柳内たくみ アルファポリス

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20××年。東京銀座に突如現れた「異世界への門」。門の向こう側『特地』には、手付かずの潤沢な資源、そして、栄華を極める巨大帝国の存在があった。『門』の影響による天災を懸念し、『門』封鎖を決断した日本政府。ところが、諸外国陣営は『門』の管理権を巡り日本に圧力をかけ、『門』封鎖を阻止すべく銀座を占拠する。時を同じくして、『門』開閉の鍵を握るレレイが何者かに攫われてしまう。一方で、特地では、ゾルザル軍掃討まで後一歩のところまで迫った日本自衛隊に対し、まさかの撤退命令が下る。それは特地の治安維持を見棄て、直ちに帰国準備せよという非情な指令であった。それぞれの隊員達が下した決断は?『門』の行方は?そして、伊丹と異世界美少女達の運命は―?超スケールのエンタメファンタジー、ついに完結!狂瀾怒涛の最終章、開幕。
最終章、開幕! なんて書いてあるから、もしかしてまだ続くのか!? とビビったのだが、ちゃんとこれが最終巻でした。なのに、メインヒロインたちの陰が薄いこと薄いこと(苦笑
伊丹がはっきりしないところに、ゲートの歪みに纏わるバタバタで落ち着いて向き合う展開が叶わず、そのままなし崩しにラストまで行ってしまったのはややも残念。これは概ね全般の傾向でもあって、何となく全体的にバタバタしたまま、そうパニック映画的な勢いで最後まで行ってしまった感じである。何しろ、ゲート封鎖へのタイムリミットがいきなりはじまって、特地側も地球側もあわてふためきながら撤収に終始し海外の横槍にあたふた右往左往するばかりでしたからね。ゾルザル側の侵攻や第二王子の謀略など、どんどん畳み掛けて多重的に困難が襲いかかってくる展開は、緊迫感こそ煽りましたけれど、いかんせん余計にバタバタ感を増幅させる要因にもなっていましたし。
個人的にはもっと腰を落ち着けて話を進めてくれた方が楽しめたんだろうなあ。他のカップルたちも、落ち着いて向き合う機会なく別れ別れの危機と再会、というパターンになってしまいましたしね。特に、シェリーと菅原はもっとスポットを当てて生き別れと再会の約束のシーンをこね回せたでしょうに。
そんな中で、この完結編で見せ場をもっていったのはテューレと古田のカップルだったんじゃないでしょうか。テューレは結局、自分の罪業を踏みにじれなかったか。もしかして、全部振り捨てて幸せになれるか、とも思ったんですけどね。途中まではそのルートに入っていたものの、最後の最後で一族の憎悪と相対することに。彼女は、ちゃんと決着を付けることを選んでしまいました。でも、本当に彼女、幸せそうだったんですよね。何もかも失って、奪われて、零になり、自分を取り巻く世界すべてを憎悪して、破壊し尽くすことしか残されていなかった彼女が、あんなに満たされた顔で幸せに包まれて逝けたのは、きっとハッピーエンドだったのでしょう。報われたのでしょう。救われたのでしょう。
あんな最期だったにも関わらず、「良かったね」と思ったんですよね、あのシーン。同情や哀しさではなく、純粋に祝福を送りたくなった、そんな結末でした。
古田さんは、やるせなかっただろうけどなあ。

ちょっとバタバタしすぎた完結編でしたけれど、全般的にとかくエンタメが効いてて痛快な面白いシリーズでした。次回作があるのかはわかりませんが、ともかくその前に後日譚とか番外編とか、見たいっす。読みたいです。

シリーズ感想