EIGHTH(7) (ガンガンコミックスJOKER)

【EIGHTH 7】  河内和泉 ガンガンコミックスJOKER

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iPS細胞の研究中に突如倒れたりお。彼女の病気を治療するために、行動を起こすナオヤ。一方のバチカンでは、セルシアの待遇が想像とは違い、彼女を連れてきたことを後悔するルカ。そこで、思わぬ大事件が発生することになり…。セルシア&ルカの運命は如何に──…!? 大人気バチカン編、クライマックス!!

リオ先生、ただの過労じゃなかったのか!? 倒れる前の様子が明らかに年不相応のオーバーワークだったために、単純に無理しすぎたから倒れたのだと楽観していたら、実際は……小児白血病!? 衝撃的展開すぎる。
それでも不治の病ではないと言われてホッとしたのも束の間、発覚したリオ先生の遺伝子欠損。この為に、彼女に投与する抗癌剤の適正使用量が全く分からないために、分量は手探りで実際に投与して効果を確かめなければならない。しかし、適正量を過てば、重大な副作用が発症してしまうという。
わかった。イヤというほど分かった。iPS細胞が持つとてつもない可能性と、未だ実用化が叶わない問題点の一つが、まさにこれなわけだ。りお先生の状況を実例として、ここに示してくれたわけだ。前巻のiPS細胞の解説だけでも簡単でわかり易かったのに、こんな実例まで添えてくれりゃあ嫌でもわかる。直近の技術ですらこの可能性だ。将来的に出来るであろう治療の数々は夢のようですらある。
凄いんだ、本当に凄いんだ、iPS細胞。
しかし、現状ではまだ未来の可能性に過ぎない。いずれ確実に叶う可能性だとしても、現在においてはそれは存在しないのだ。その可能性をたぐり寄せる担い手である研究者りおは、その事を誰よりも把握し承知している一人だろう。だから、自分が間に合わないと知りながら、そのときはかならずくる、と笑って言える。次の人のために手順を残すことこそが大事なのだと、笑って言い切れる。
でも、まだ子供なんですよ、りお先生は。健気が、すぎるでしょう!!
ナオヤが手繰り寄せようとしている道は、確かにずるいです。ワガママです。自分勝手です。それは利益の為じゃないにしても、自分たちの都合のために、セルシアの力を利用しようという行為は、彼女をこれまで監禁し搾取してきた連中と同じ、と言われてもナオヤは否定できないでしょう。
正しいことではないのでしょう。
でも、親しい人を助ける手段があるのに、それに手を伸ばさずにいられる人がどれだけいるのか。
でも、その手を伸ばした先にあるのは、やっと手に入れたセルシアの安住を破壊し、再び彼女を怯え隠れてすごす逃亡生活に追いやる事に、彼女をめぐって争いが起こることに繋がり兼ねないと、彼はどこまで承知していたのか。
それでも、リオの事をセルシアに伝える事は、間違いじゃないんじゃないかな。多分、りおのことを知ればセルシアは自分の力を使って助けようとするし、それを見込んで情報を与えることはズルい事なんだろうけれど。でも、自分の力をどう使うかを決めるのは、セルシアの自由なんだから。情報を与えず選択の自由を許さないこともまた、ずるいことなのだ、きっと。
結局、なにをどうやったって、誰もがすっきりと気持ちよく終われる事なんてアリはしない。つまるところ、どうやったって間違いしかないのなら、間違ったあとにそれをどうにかして挽回し、修正し、選り良い方向へとつなげていくしかないのだろう。
その点において、失敗してしまったのが多分ルカだったのだ。彼は自分の間違いに気づきながら、座視して傍観してしまった。それはきっとしかたないことだったのだろうけれど、結果として間違いに間違いを重ねる事になってしまった。故に、悲劇が起こる。
取り返しの付かない悲劇だ。

序盤のりお先生の件を吹き飛ばしてしまうような、あまりにも衝撃的な展開に息が止まりそうになる。おい、いったいどこまでセルシアを追い詰める気なんだよ!? ここまででも十分、二進も三進も行かない行き止まりに追い込んでたくせして、さらに奈落に叩き落すだなんて、鬼畜にも程がある!!
その上、さらにルカがトドメでやらかしてくれましたし。こいつは、こいつは本当にもうっ。バカ、バカ野郎、この大馬鹿めっ、うわああああっ!
もう、あの音が聞こえた時のセルシアの魂が抜けたような、あの悟ってしまった表情が凄まじすぎて、総毛立ってしまった。頼むから、本当に頼むから最悪な事態だけは避けて欲しい。でないと、本当にセルシアが立ち直れなくなる。

こんな場面で途切れるなんて、生殺しもいいところです。どんだけいじめっこなんですか、意地悪すぎる。謝りますから、早く続き出してください。お願いしますっ。

河内和泉作品感想