ニーナとうさぎと魔法の戦車 2 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 2】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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ゴシック&ロリータを身にまとい、世界で一番眼帯が似合う美少女・テオドーレは17歳にしてエンデ市の市長を務める貴族のご令嬢だ。私立戦車隊・ラビッツの面々は彼女の招待に応じ、エンデ市を訪れていた。一方、ラビッツを離れ、家族を探す旅に出ていたニーナは、エンデ市付近の開拓村で家族と、さらには意外な人物とも再会を果たす。
しかし、開拓村は野盗によって定期的な略奪を受けており、存亡の危機に立たされていた。野盗に抵抗し、戦うことを主張するニーナ。それに対して開拓民たちがとった選択は、ニーナを…!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第2弾!!
うっふっふ、や……やってくれるじゃないか。これまた最高にっ、欝にさせられたゼ!!
読み終わったあとの、あの凹みに凹みまくった落ち込み具合をなんと表現したらいいか。哀しいと言うよりも虚脱感に苛まれ、涙よりもむしろ憤りが湧き出してくるのに気力が湧いてこないような、そんな欝っぽさ。
まいった。
なんかねー、もうねー、泣くにも泣けませんよ、ホントに。ラビッツたちが悪いわけじゃなく、彼女たちはちゃんとやるべき事、やらなきゃいけないことをやったわけで非難されるべきところなんぞ何処にもないんです。彼女たちにこの哀しさの責を求めるのは幾ら何でも酷すぎるでしょう。悪いことをしていたのは、全面的にあの人たちだったわけですから。でも、それでも……助けてあげられなかったかなあ。うんうん、ニーナたちは、少なくともニーナは全力で助けようとしてくれてました。だから、恨めしく思うならばやっぱりその感情はこの容赦呵責のない顛末を用意した作者に向かうしかないわけで……うらめしや〜〜w
結局のところ、弱者は心ある強者が手をさしのべて助けてくれる余地があります。開拓民たちが遅まきながら求めた「助けて!」の声に、市長は敢然と応えてみせました。あれ、マッチポンプなんかじゃないんですよね。裏の顔とはまた別に、表の顔もまた本当の顔だったはずです。彼女は間違いなく、助けを求める弱き人々に心から手を差し伸べられる人でした。
でもさ、そんな弱い人たちに手を差し伸べられる強い人を、自分で絶望から立ち上がることの出来た強い人を、じゃあ誰が助けてくれるの? 強い人は、誰にも助けてもらえないの?
自分が感じたこの悲劇への理不尽は、多分そんな所にあるのだと思います。
罪は裁かれなければなりません。たとえそれが大局的に見て必要悪だったとしても、許容してはいけない領域というのは確かにある。彼女は、やり方を間違えてました。同じ必要悪でも、許容されるやり方はあったはずなのです。でも、彼女は間違えた。だからこそ、断罪は必要でした。でも、彼女は間違いなく多くの弱き人達を助けた英雄でした。彼女は決して、助けを求めた手を払いのける人ではありませんでした。あの開拓民の一件だって、もしもっと早く彼らが助けを求めていても、彼女はきちんと応えていたでしょう。
功罪を如何に見るか。難しい話です。結論のでない難しい話です。でもね、あんな終わり方をするのだけは、納得できない。彼女が弱きを助け、同時に悪を成したように、彼女もまた断罪されると同時に、助けを得て欲しかった。誰か、彼女と彼を助けてあげて欲しかった。
彼女と友だちになったニーナにはその資格と意思があったのですが、結局彼女の手は届かなかったのが悔しくてたまらない。ニーナの力が足りなかっただけではなく、あの二人にソフィアと同じく、助けてと手を差し伸ばす意思と勇気がなかったのも大きな理由の一つなのだろうけれど。あれだけさ、開拓民には偉そうに言っておきながら、あれだけ格好良く悲鳴に応えたってのにさ、自分は悲鳴一つあげずに、助けも求めずにいっちゃうんだから、馬鹿ですよ。馬鹿ですよ。二人には、無様でもどんな形でも生きて欲しかった。
正直、これほどの人材が失われて、あの街が今のままで居られるとは思えません。あの街を悪徳から立ち直らせたのは、決して優れたマニュアルなどではなく、市長のカリスマこそが原動力だったのですから。彼女が英雄として失われたのなら、街の人々も遺志を継ごうと頑張れるでしょうけれど、あんな形で終わられたら、果たしてこれまでのように頑張れるでしょうか。あれほど素晴らしい人でも自分たちを裏切っていたと思ってしまったら、もう二度と頑張れませんよ。上を信じられませんよ。未来が、信じられなくなる。
ひどい事にならなければ、いいのですけれど。

はぁ……ほんと、テオドーラは今後レギュラー化するものとばかり思っていましたから、ショックも半端じゃありませんでした。まったく、良いように心揺さぶられて押しつぶされてしまいましたよ。参りました。でも、だからこそ面白かったです……いや、面白かったというとちょっと違う気もしますけれど、物語に引きこまれたという意味では同等か。やや新作からは遅れ気味になってますけれど、何とか追いつけるようにがんばろう、うん。またへこまされるかと思うとやや気後れもするけれど、続きも気になるもんなあ。

1巻感想