カレイドメイズ4  眠れる玉座と夢みる未来予測 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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カイルたちは、ついにネーフェの失われた記憶を巡る終着点にたどり着く。現代では未踏となっていた、“世界の穴”ことサリストバール喪失遺跡。しかしそこに、“賢者の隻眼”に加え、ロナン帝国軍も介入してくるのだった。二千年前の古代魔法王国滅亡の真相に迫るとともに、それぞれの思惑が交錯しはじめる。そして、カイルとネーフェにも、究極の決断が迫られるのであった。はたして、魔法王国復興の夢と、ふたりの恋の決着は。
明るい国家計画から明るい家族計画に落ち着きまして、姫さま悲願成就おめでとう♪ エピローグ見る限り、ちゃんとやることはやっていらっしゃるようですし、本来の王国復興のための義務から解き放たれ、純粋に愛する男性と子作りに励むようになれて、よかったよかったw
まあここに至るまでに、カイルとネーフェは間に誰も割り込めない相思相愛の関係になっていたわけで、二人にとっての障害は2つ。ネーフェには王国復興を果たさなければならないという王女としての責任と、ネーフェとの関係が政治的な打算によって始まったというカイルのわだかまり、だけだったんですね。それも今回、直接的に王国が復活する可能性をつきつけられる事でネーフェには決断が迫られ、あくまで王女として王国に殉じるか、一人の娘として生きるかを選ぶことによって、決着することに。
これってなかなか酷な話だったんですよね。もし、ネーフェが未来に送られた事が必然であり、厳選された選別の結果だったとしたらともかく、ネーフェは本当にたまたま、偶然に選ばれただけで特に彼女でなければならない理由があったわけじゃなく、ほんの少し何か歯車が違っていたら他の王国民と同じように封印されていてもおかしくはなかったのです。そんなあやふやで心もとない立場で、王国の運命を決断しなければならないという境遇に追いやられた彼女が、結局最後まで心折れる事無く、逃げ出すこともなく、運命に立ち向かい続けたんですから、大したものですよ。おっとりとしてのんきな天然素材ですけれど、芯の強さについては折り紙つきのヒロインでした。そんな彼女に愛される主人公のカイルも、流されること無く自分の意志で大切な物を選択し、それを守るためにがむしゃらになれる、良い意味での頑固者でこれも芯の通った一端の主人公だったなあ。こうして見ると、実にお似合いの二人でした。
そんなメインの二人に比べて、レナートスの残念さはいったいどうしたらいいんだ、というレベルに(苦笑
この男の目先のことしか考えない視野の近眼さ、短絡さは、もう呆れを通り越して愛嬌の次元にまで達してるんですよね。ここまで馬鹿だと、憎らしさも湧いてこない。野心と欲望の塊のくせに、悪意や負の感情とは縁がないのも憎みきれないキャラの要因なんだろうけれど、それでもカイルが親友やめないのは充分心広いと思うぞ。ただ、ビアンカの相手はレナートスよりもヴェンヘルのほうがまだマシだと思う。ビアンカとレナートスがくっつくと、将来的にカイルの両親並みに悲惨な事になりそうだし。うまくいくはず無いじゃない! 絶対子供が苦労するぞw

ストーリーの方はどうやら打ち切り入ってしまったせいか、やや性急な展開で風呂敷まとめに入ってしまいましたね。軍の王弟殿下やミオの師匠なんかは本来なら最終巻よりも前に登場してキャラを掘り下げ、それぞれの目的を匂わせた上でカイルたちと因縁を絡めてから最終章の王国復活編に参戦してくる、という形が自然だったような感じでしたし。それぞれキャラが立っている割に、登場や目的の披露に唐突感があって、作中に気持ちが入っていく前に置いて行かれたみたいなところがありましたし。ちょっとでも前振りあったら、ついに来たな、と此方も居住まいを正せたんでしょうけれど。いきなり打ち切り決まってまとめに入らざるケースでは度々あるんですよね、こういうの。きっちりラストまで流れが組んである分、この手の準備不足は勿体無くて仕方がない。せめて打ち切るにしても二巻の余裕を与えてくれたら、と思わずには居られない。難しい話なんでしょうけどね。
でも、三巻のドタバタ劇のハチャメチャな楽しさを思えば、やっぱり勿体ないですよ。当初期待していた以上の良作へと順調に進化していただけに、なおさらに。
と、勿体ない勿体ないと連呼していますが、いささか最終局面へ突入することへの唐突感が否めない点だけが引っかかるだけで、ネーフェとカイルの関係にも王国の復活についても、ストーリー関係はきっちりと不足なく綺麗に決着に持って行っているので、お話としてはこの終わり方は大変満足でした。作品としてはもっと続いてくれtらうれしかったんですけれどね。
でも、この感じなら次回作も充分楽しませていただけそうです。次に改めて期待したいところです。完結、お疲れ様でした。

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