カミオロシ〈2〉人形供養の儀 (電撃文庫)

【カミオロシ 2.人形供養の儀】 御堂彰彦/さらちよみ 電撃文庫

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 人形が持ち主の下に帰ってくる。生徒たちの間で囁かれる噂。玖流は同級生の皐月から人形供養について相談を受ける。玖流は取り合わなかったが、皐月は事故にあい、異様に人形に怯えているという。
 単なる事故と切り捨てる玖流に憤る美古都。そんな彼らを待っていたのは皐月の死だった。何かあると探りだした玖流と美古都は、恐るべき秘密へと辿りつくのだが!?
……あ、やばいわ、これ。なんか、ハッピー・エンドが許されずトゥルー・エンドが待ってる物語のような予感がしてきた。そういえばこの作者の前シリーズ【付喪堂骨董店】のラストもあんなんだったっけ。
一巻の感想でこの主人公は清々しいくらいに「選ぶ」決断を下せる主人公であり、大切なものにキチンと序列をつけて必要と有らば、より大事なものを選びとり、選ばなかった方を見捨てる事ができる、という風な印象を得ていたんですが、てっきりそれは主人公のスタンスを印象づけるための要素であって、それ以上の意味は何もないと思ってたんですよ。
ところが、どうやらこの二巻を見るかぎり、この「選択」こそがこの物語の裏の、或いは真のテーマっぽいのです。一巻が主人公にとって大切なものと、特に意味を持たないものとの取捨選択だったのに対して、この二巻は大切なものと、より大切なものとの取捨選択、と主人公が迫られる決断のハードルが凄まじく上げられていたのです。しかも、美古都との問答を鑑みるならば、流れとしてはさらなる厳しい選択が迫られる事が予想されるわけで、しかもその対象というのが明らかにあからさまなんですよ。美古都のそこはかとない怪しさはここに直結してくるのか。彼女自身どこまで知っているかわからないけれど、ああいう問答を仕掛けてくるということは薄々自分について自覚している節もあるし。もし、自覚してるのだとしたら、あんなことを問いかけてくるなんて相当に切ない話なんだよなあ。たまらん。
少なくとも「選択」を続けている以上は、どうやったってこれハッピー・エンドは有り得なそうなんだよなあ。だからといって、安易に「選択」をしない選択を選んでしまうとバッドエンドに直行しそうな勢いだし。皮肉なことに、巻を重ねるごとに玖流にとっての2つの大切なものの価値は急速に同等に近づいている。口ぶりや態度がいかに辛辣だろうと、玖流にとって美古都が大切な存在であることは疑いようのない事実ですしね。それでも、この間まではたしかに弟との間には差がありました。でも、一巻の冒頭に比べて二巻の終わりの頃はどうでしょう? 一巻の終わりの美古都の問いかけと、この二巻の終わりの問いかけでは、返答するまでの間に違いはなかったでしょうか。
あかん、これ作者の思惑通りに何もかもがドツボにハマってきている。多分、どこかに救いの道はあるはずなんですよ。薄っすらとそれらしいルートは垣間見えている感じはある。でも、それって実は一切救いようのない展開よりも底意地が悪いんですよねえ。うんうん、性格悪いです。ちなみに褒め言葉。

と、作品全体を俯瞰しての文言は別としても、この巻だけでも読み応えたっぷりです。事件の真相は関わった人間の思惑が複雑に交錯することで、一つ一つ事実が明らかになるごとに景色が一変し、真実が二転三転して、ミステリーとしてもなかなか息のつかせぬ展開に。最初の流れだけ見てると、誤解しようのないシンプルな展開だとかなり油断してたもんなあ。
期待通りの骨太な物語になってきて、これは嬉しい限りですよ。しかし、毎回これだけ人死やらが出たら、学校側も大変だw

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