ストライクウィッチーズ アフリカの魔女  ケイズ・リポート (角川スニーカー文庫)

【ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート】 鈴木貴昭/島田フミカネ:本文イラスト:野上武志 角川スニーカー文庫

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灼熱の大地、アフリカ。正体不明の敵・ネウロイに対する人類の防衛拠点であり最前線のひとつ。扶桑皇国の従軍記者・加東圭子は、あるひとりのウィッチを取材するため、この地を訪れていた。そのウィッチこそ「アフリカの星」「黄の14」と呼ばれる稀代のスーパーエース、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。灼熱の大地を舞台に、今、新たな物語の幕が開く―。大人気アニメ『ストライクウィッチーズ』待望の外伝、堂々スタート。
どえええええ!? 連合軍第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」の誕生って、こんなにグダグダだったの!? ある意味、スミオスの「いらん子中隊」よりもよっぽど酷いじゃないか。
いやあ、驚いた。漠然と見聞きしていた加東圭子が「アフリカ」の隊長になる経緯って、てっきり既にちゃんと成立した部隊の隊長をマルセイユに押し付けられたものだと思ってたんだが、これを読む限り扶桑陸軍のあんまりと言えばあんまりな不祥事のしわ寄せの結果、宙ぶらりんのままアフリカに送り込まれてきた、というよりも捨てられた? 放り出されてしまった整備中隊をおケイさんがゼロから引き受けて、一人で走りまわって各国の協力を取り付けて統合戦闘飛行隊に仕立てあげちゃったという、これ殆どおケイさんが一人で立ち上げたようなもんじゃない。そりゃ、マルセイユも丸投げするわ。そりゃ、事務仕事とか面倒くさいの押し付けたかったのもあるんだろうけど、あれよあれよとゼロから部隊作っちゃったような手際見せられて、しかも階級も上と来たらそりゃコイツに隊長やらせときゃ、事務から逃げられる以上に楽出来るぞ、と思うよなあ。
上にも顔が利く交渉上手と言えば、504のフェデリカ・N・ドッリオ少佐が思い浮かぶけど、どうしてどうして、おケイさんの口八丁手八丁は百戦錬磨じゃないですか。しかも、これ自分の扶桑海戦役でのスーパーエースとしての名望は一切使わず、主にマルセイユのプロマイドや写真を交渉材料に立ち回っていたというのだから面白い。彼女の写真、独自の市場価値が出始めて、戦国時代の茶器みたいな効果まで出始める始末、面白い面白い。
そんなおケイさんの目を通してみるマルセイユも、なかなか興味深い。付き合いが深まるに連れて、最初はどこか神秘的でどこか手を触れるのを躊躇ってしまうような深奥と儚さを併せ持ったような印象だったのが、歳相応のヤンチャでプライドが高くて気分屋で陽気で子供っぽくてお茶目なところのある、可愛い女の子としての一面が見えてくるのだ。おケイさんも、当初は多分に憧憬を含んでいたマルセイユのこと、段々とヤンチャな妹みたいに扱いだしてるんですよ。ああもう、可愛くて仕方ないんだろうなあ、というのがすごく伝わってくる。他のメンバーの稲垣真美も、素直で純朴な妹分でかわいがっているし、ライーサの事もあれで結構面白がってるのが透けて見える。現役時代には挫折を味わい、魔女として辛酸を舐めてきたおケイさんだけれど、この「アフリカ」の隊長職はすごく楽しそうで、充実しているように見えて、何ともよかったなあと思うばかりである。
姉御肌、ってわけじゃないんですけどね。わりと飄々としていて屈託がなく、国の境や階級の上下無くすッと懐に潜り込んでしまうようなところがあって、この時期のアフリカみたいにごちゃごちゃと国際色ゆたかで混沌としている戦場は、彼女には打って付けだったのかなあ。

また、彼女の口から回想として語られる他の魔女たちの話も、いいんですよね。プロフィールはみんなそれなりに知識として知っているものの、おケイさんの口から語られるそれは、ちゃんと生の魔女の人となりを感じさせてくれるのです。魔のクロエこと黒江綾香なんかも、台詞一つナイにも関わらず、ああこの人ってこういう人だったんだ、というのがエピソードから伝わってくる。
ストライクウィッチーズの世界観を、直に感じられたみたいで、ちょっとワクワクさせられました。

野上さんの漫画「アフリカの魔女」とも共通するところがあり、ってそりゃ当然か。あの主計中尉が何故送り込まれてきたのか、なんて裏事情もさらりと載ってたりして、両方比べて読むと新しい発見もあるかも。
そう言えば、ロンメル将軍、ストパン媒体ではここが初登場じゃないのかしら? モンティとパットンは漫画の方に出てましたけど、ロンメル将軍は姿見なかったもんなあ。

いやあ、想像以上に面白かったです。コレに乗じて「アフリカ」のみならず、他の統合戦闘団の話とかも小説で読んでみたいです、はい。