9S(ナインエス)〈11〉true side (電撃文庫)

【9S(ナインエス) 11.true side】 葉山透/増田メグミ 電撃文庫

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これは運命か。世代を超え再び「遺産」の原点を知る者たちが集う!

 地球上の全生物の滅亡が目前に迫る中、由宇がついにその地に立つ。これは偶然か必然か。このシベリアに「遺産」の原点に関わるすべての者が揃ったのだった。
 峰島と真目家の確執を知る女性スヴェトラーナ・クレール・ボギンスカヤの失われた過去。セルゲイの後継者と目される狂える天才イワン・イヴァノフが握る秘密。彼らと由宇が交わるとき、封じられていた歴史の扉が開かれる!?
 生存が絶望視される岸田達の消息は? グラキエスから逃れるため、闘真達一行が繰り広げる決死の逃避行の行方は? 怒涛の展開に目が離せない!


前巻が2009年の9月の発売ですから、実に2年半ぶり近い新刊となった【9S】。いやあ、こんなに間空いてたんですか!? 葉山さんは近年はメディアワークス文庫からシリーズ出してて、結構作品を読んでいるからかあんまり久々な印象がなかったなあ。前回の引きが、新生物グラキエスの大繁殖による人類滅亡カウントダウン、という衝撃的な展開で内容を忘れていなかった、という理由もあるのかもしれませんし、何より二年半というブランクを感じさせない、いきなり事態の途中からの再開というのもあったのかもしれません。
そもそも、二年半ぶりにも関わらず、主人公の闘真と由宇の絡みもイチャイチャも全然ないじゃありませんか。というか、顔も合わせないし!! 一瞬、このまま最後まで主人公とヒロイン再会する事もなく終わるのかと思っちゃいましたよ。再会しても感動の対面という程のものもありませんでしたけどね! 由宇ちゃん、クールすぎw どうせ本音では七転八倒しているくせに。或いは激怒してるか。またぞろこんなところまで首つっこんできやがって、この宿六が、といった感じで。
まあ、自称狂える天才のイワン・イヴァノフが終始微妙だったのも当てが外れた感だったんですけどねえ。天才は天才を知る、じゃないけれど、仮にもセルゲイの後継者を名乗るならば、由宇と直接対面しておいて彼女の真価に気づかない、というのは結構残念モノだと思うぞ。最終的には彼女の真髄を見ぬくだけの頭はあったみたいだけれど、ちょっと時間かかりすぎだよね。それに、結局頭ハッピーなまま締まらない終わり方をしてしまったわけだし。敵役としてはいささか中途半端な人でした。やっぱり、悪役にしろ敵役にしろ、真目の親父が一番「濃い」し憎たらしいよなあ。とにかくこいつをギャフンと言わせる事が出来たら、心の底から度肝を抜かせる事が出来たらどれほど爽快で痛快だろう、と思わせてくれる敵役はやっぱり貴重ですよ。問題は、それが果たせそうにないほどにこの真目の親父がやり手過ぎるところか。とてもじゃないけれど、このおっさんがギャフンといってくれそうなシーンが想像できない。痛快どころかストレス溜まりっぱなしであるw

さて、なんか全然絡めなかった闘真と由宇に成り代わって、シーンこそ少ないもののやたらとフラグ立てまくっていたのが、八代さんとマモンこと六道舞風である。マモンってば、口ではあれだけ八代さんのこと蛇蝎のごとく毛嫌いしてるくせに、グラキエスの大群の只中に取り残された八代さんを単身助けに飛び込んでいくあたり、幾ら態度でごまかしてても内心バレバレなんじゃね、これ?(笑

伊達さんの七面六臂の活躍もあって、まさかの海星・黒川復活フラグも立ち、謎が謎を呼ぶ展開の中で霧中を切り裂く動きも出てきているのだけれど、それにしても先行きの見通しが全然立たないのが不穏である。グラキエスからして、まだ決着ついてないっぽいもんなあ。
そもそも、闘真と由宇の約束からしてどうなることやら。あと、クルールは流石にあれで終わりじゃないですよね? ないですよね?? 折角母親と再会して、子供としての情感を取り戻しつつあったのに、アレはさすがに悲しすぎる。

葉山透作品感想