俺ミーツリトルデビル!〈3〉ひと夏のフェニックス (電撃文庫)

【俺ミーツリトルデビル! 3.ひと夏のフェニックス】 峰守ひろかず/犬洞あん 電撃文庫

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夏の海で出会ったのはフェニックスの少女!?
ちょっとえっちな学園ラブコメ夏休み編♥

 芽亜のもとに、亡くなった母親宛ての手紙が届く。魔力の残るその手紙に誘われ、芽亜たちは海水浴がてら海を訪れることに。女子の水着妄想で脳内がいっぱいの巧馬。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、エルハームと名乗るフェニックスだった。
 フェニックスの血を狙う祓魔師との戦いの最中、エルハームは人間の少女の姿になってしまう。過去の記憶も失ったらしい彼女を、芽亜と巧馬は寮へと連れて帰る。そして迎えた夏休み。なぜだか巧馬の実家で、3人の同居生活が始まってしまい──!?
 半熟悪魔×妄想少年で贈る、甘美系学園ラブコメ第3弾♥
あれ!? この第三巻で完結しちゃうのかー! そろそろキャラクターも出揃ってきて賑やかになってきたところだったので、残念だ。峰守さんはむしろキャラがごちゃごちゃと山ほど登場してからの方が本番で、ワイワイと楽しくなってくるんだけれどなあ。
ともあれ、仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれない。前作の【ほうかご百物語】と違って、このシリーズは作者のノリと実際の物語の流れとが微妙に噛みあってない感覚が常につきまとってましたし。違和感みたいなものが剥がれなかったんですよね。多分、本能ダダ漏れの主人公のキャラが峰守さんのノリとちょっと合ってなかったっぽいんだよなあ。いや、前作の主人公も本能ダダ漏れでしたけれど、あっちは邪気がなかったというか、異性に対する邪な気持ちが一切なかったので、どれだけ口説くみたいな台詞をダダ漏れにしてても読んでるこっちも、作中で実際に主人公と相対しているキャラも嫌な気は全然しなかったんですよ。その点、この巧馬は助平さを出し過ぎたというか。勿論、彼のそうしたあからさま過ぎる性向にはちゃんとした理由というか原因があって、それは直接メインヒロインであるところの芽亜と関わっているという設定があったのですけれど、果たしてそれを生かしきれていたかどうか。
ぶっちゃけ、此処に来てその辺設定として消化するのを諦めて、思い切って感覚的に主人公の違和感の齟齬を埋めに来てた感がありました。実際、それって結構成功していたカンジがするんですよね。そろそろ、この主人公に慣れ始めていた、というのもあるかもしれませんけれど、これまでしっくり来ていなかった部分がだいぶ馴染んできたというか。それだけに、ここで終わりというのがなおさら残念だったんですよね。もっと早くに、芽亜一筋にしておけば、もっと中心軸がズンと成り立ったんじゃないかなあ。他の女の子に目移りしてしまうにしても、芽亜が好きという自覚があったらもっと物語もパンと締まったんじゃないかと、後半で巧馬が芽亜への気持ちを自覚してからの流れを見ているとそう思ったり。
まあこの辺りの齟齬は、次回作でうまく生かして欲しいですね。何だかんだと作者はスロースターターの傾向ありますから、ダッシュに失敗すると今回みたいに早々と盛り上がる前に話をたたむはめになってしまいますから。続けたら、絶対面白くなってくる人なので、勿体ないですよー。

さて、お話の方は魔物消失の謎も絡んで派手なクライマックスに。ラスボスの扱いには大笑いしてしまいましたけれど。前々から大きな謎を匂わせていた魔物たちが旅立ったという「あちらの世界」。これは全く予想していませんでした。単純に異世界とか亜空間とか、マヨイガ的なそっちの代物だと思い込んでましたし。昔から、エルフとかカミサマが妖精界や神界に引っ込んでしまって現世からいなくなってしまった、という話には枚挙の暇がありませんでしたからね、それと同じだと思い込んでいた。芽亜たちもそう思ってたんだろうね。それが、まさかそういう話になっていたとは。これ、完全にパラドックスに陥ってるよね?でも興味深い。
それ以外にも、振り返ってみると何気に予想外の展開が連続していて、気持ちのよい驚きに浸る事ができた。結構先が読めない展開を持ってくるんだよなあ。その上、展開を広げるテンポもいいから、サクサクっと楽しめる。なんだかんだと、やっぱり峰守さんのお話は楽しませてくれて、面白かったですよ。
ラストの怒涛の展開もあってか、折角気持ちが重なった芽亜と巧馬のイチャイチャシーンもあまり堪能する暇もなくて、残念無念。この人の絵描く微笑ましい空気がたなびくラブラブ時空はとても好きなので、今度はじっくり堪能させて欲しいですね。これでおしまいというのは重ね重ね残念ですけれど、次回作に期待ということで、〆。

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