氷結鏡界のエデン9 決戦限界‐アマリリス・コーラス‐ (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 9.決戦限界 アマリリス・コーラス】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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「単純この上ない二択です。このまま穢歌の庭の扉が開ききって浮遊大陸が滅亡するのを待つか、それとも、ありとあらゆる犠牲を覚悟のうえでセラの虚像と戦うか」氷結鏡界を突破した三体の強力な幽幻種―『セラの虚像』。天結宮を追放されたシェルティスの前に現れた異篇卿イグニドは、セラの虚像を一緒に倒そうとシェルティスに提案を持ちかける。一方、天結宮では巫女のユミィが統政庁のゼアドールたちと共にセラの虚像の討伐に向かうことになり―。交錯するそれぞれの思惑、壮絶なる死闘、そして明かされるイグニドの正体―。絶望の中で少女の祈りが世界を守る、重層世界ファンタジー。

イリスさん、イリスさん。誰も貴女の過去を知らないからって、都合のイイように捏造しないの。あんた、誰がどう見ても極めつけのポンコツメイドだったじゃないですか。出来るメイドさんでした、みたいな嘘つかないのw
イリスは、なんでこんなイイ性格になっちゃったんでしょうね。昔は純朴で素直で思わず拳骨落としたくなるほどアホの子だったのに。歳月って残酷ね♪

世界の危機と相まって政治的緊張状態にあった天結宮と統政庁が協力し、さらに完全に敵対状態であった異篇卿とも共闘しての、対セラの虚像編という燃える展開に加えて、ついにイグニドの正体発覚。
という訳で、あとはネタバレ全開になるので、一応収納します。











イグニドの正体がもう一人のユミィだった、というのは最近の彼の人の動向からある程度推察ができてはいたんだけれど、まさか最後の最後に天結宮のユミィの方が虚像(夢)だと言い出すとは予想外。
この言い方だと実際に何がどうなっているのかはわからないのだけれど、ともかくユミィとイグニド=ユミエルが同一人物から分裂しただろうことはこれらの発言から伺える。それとも、ユミィがいつかユミエルとなって過去に戻ってやり直すから、今のユミィを過去の虚像、過去の夢、とでも言っているのか。しかし、いったい何時から彼女は二人になったんだ? シェルティスが過去に穢歌の庭に墜ちた時? それとも、今回ユミィと一緒に墜ちた時? 何れにしても、こっちのユミエルはいい具合に黒くなっててシェルティスに対してもヤンデレの気配が濃厚に漂っているのが面白い。黒いユミィは策謀家ですよ。まだまだ初心で政治的判断や謀略戦などには右往左往するのが精々なユミィに比べて、ユミエルと来たら天結宮や統制庁すら計略下に置いて思い描いた謀を実現させる卓抜した繰り手を有している模様。他人よりも多く世界の情報を握っているというアドバンテージがあるにしても、メイメルさんをも上回る手腕はとてもじゃないけれど、同じユミィとは思えない。
個人的には黒いヒロインは大好きなので、上手いこと黒いままのユミエルとして生き残って欲しいところでありますが。

にしても、穢歌の庭から現れたセラの虚像がアマデウスとミクヴェクスというのは出来過ぎだよなあ。しかも、黒竜と蛇と来ましたよ。「その意思に牙剥く者」「ただそこに佇立する者」という呼称は、前シリーズの【黄昏色の詠使い】に出てきた意思法則体とまったく同じなんですよね。ヘクトについてはちょっと記憶ないんですが。
となると、イリスが語るこれらの写影を生み出したセラの意思法則体というものがやはり気になってくる。
セラとは何者なのか。
今回、シェルティスとユミィが穢歌の庭に墜ちたことで、ついにコレまでまったく謎の世界だった「穢歌の庭」の正体が少しでも見えてくるはず。果たして、穢歌の庭とは【黄昏色の詠使い】でネイトが一時垣間見た顕世界「セラの庭園」のことなのか。
イグニドの暗躍も相まって、そろそろこの不可思議な世界の仕組みが見えてきそうな兆候がチリチリと見えてきた感があり、さあワクワクしてきましたよ。

しかし、折角ゼアドールさんが統政庁から出てきてくれたのに、マハさんとの再会は無しかー。再会してしまうとこれはこれで空気が台無しになりかねないので、今のところは仕方ないのか。
一方で、開き直ったモニカ隊長は後がない事もあってか押せ押せドンドンですよ。姐さん、完全に女の子モードじゃないですか。ユミエルというある意味真打ちが介入してきた以上、此処から先モニカ隊長が状況に割って入ってくるのは非常に困難になりそうな勢いなので、もしかしたら此処がピークでした、という話になってしまったら哀しいのうw

シリーズ感想