生徒会探偵キリカ2 (講談社ラノベ文庫)

【生徒会探偵キリカ 2】 杉井光/ぽんかん(8) 講談社ラノベ文庫

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巨大学園を支配する生徒会に、見習いとして入った僕。正式な書記になるには、会長のライバル・中央議長の朱鷺子さんに認められなければいけない。次第に明らかになる役員たちの過去、そして登場する前任の書記は……やっぱり変態さん? 着替え中の女子中学生を狙った(?)詐欺事件に、陰謀渦巻く文化祭実行委員会の委員長選挙、会長と朱鷺子さんとウサギを巡る失踪事件。舞い込むトラブルを《生徒会探偵》聖橋キリカが一発解決!

……まあちょっと待て。なんでこれ、タイトルが【生徒会探偵キリカ】であって、【生徒会詐欺師ヒカゲ】じゃないんだ? 主人公のヒカゲくん、こいつ詐欺師呼ばわりされてるけれど、呼ばわりじゃなくて実際詐欺師そのものじゃん! やり口がいっそ、正統派すぎるくらいの詐欺師の手法だし、するりとその口端からのぼる女の子への口説き文句と来たら、まんま結婚詐欺師のそれである。甘言を弄し、小手先で数字を転がし、網を張って向こうから獲物が掛かるのを待つえげつなさ。杉井光作品の主人公は大概口八丁手八丁の癖者だけれど、ここまで真っ当に詐欺師してる奴は早々いないぞ。まさに経済詐欺から結婚詐欺までのべつくまなく詐欺します、なキャッチフレーズでも背負えばいいんだw だいたい、今時【探偵】なんて肩書き、タイトルにつけても大して見栄えもしないんですよね。それに比べて堂々とタイトルに【詐欺師】なんて入れてみなさいよ。なんぞこれ!? と注目浴びること必至だろうに。それに、決してタイトルが内実と食い違ってる、というわけでもないし。もろに詐欺師の詐欺行為によって生徒会に持ち込まれるトラブルをソフトランディングさせているわけですから。むしろ、キリカの方があんまり【探偵】とかしてませんよ?
舞い込むトラブルを《生徒会探偵》聖橋キリカが一発解決! って、その宣伝文句こそ詐欺な気がする。作中でもキリカは自身の探偵行為についてこの文句と裏腹の見解を述べていますし。

さて、此度の新登場キャラクターの神林薫ちんの正体については完全に反則(笑
この子の姉があの神林朱鷺子さんだというのだから、よくあの完璧美人のお姉さんとこのマスコットキャラが血が繋がっているものだと似てなさにいっそ感心させられる。ただ、むしろ人心掌握術やカリスマ、土壇場の度胸
などを見ると、リーダーとしての資質は薫の方が多分にありそうというのが面白い。もっとも、朱鷺子さんがリーダータイプじゃない、ってわけじゃないんですけどね。この人も下から慕われ、組織の長として切り盛りする充分な資質と才覚の持ち主には違いないんですが、妙に余裕のない所があって首を傾げていたんですが、ウサギの話で色々と納得しました。この人、まだまだ傍らでサブとして支える立場に未練タラタラだったんだ。
あの副会長を首にされて、中央議長に追いやられてしまった経緯を見ると、気持ちもわかるし同情も募るんですけどねえ。あれは、狐徹会長が乱暴すぎるよ。朱鷺子さんへの信頼と親愛と期待ゆえだろうと、我儘の極みだもんなあ。彼女の野心によって、朱鷺子さんの気持ちはズタズタにされてしまったのですから。
遊ぶなら、みんなで楽しくならないと、と思うのは甘いんでしょうかね。この王様を一人ぼっちにしないようにするのは、随分と大変なお仕事になりそうだ。将来、キリカとヒカゲはこの会長様と対決することになるそうですが、果たしてこの二人に勝てるんかねえ。手段を問わずに社会的に抹殺する勢いでやりたいようにやってしまえば、キリカとヒカゲの「えげつなさ」からすると、叩き潰すことは案外デキそうな気がしますがw

1巻感想