探偵失格〈2〉真神原伏ノ殉教殺人 (電撃文庫)

【探偵失格 2.真神原伏ノ殉教殺人】 中維/ぜろきち 電撃文庫

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「じゃあね、タカくん。──バイバイ」
異形たちの織りなす推理奇譚、第二弾登場!

 先輩はそれきり僕の前から姿を消した……。突如失踪した「祟り神」黒塚音子を追う僕・空野高は、天法輪の計略に乗り探偵として陰謀渦巻く結婚式に出遭う。
 それはとある事情で知り合った、麗しの令嬢・真神原伏さんと彼女率いる一族郎党の悲願たる結婚式。だが探偵ものの必定か、そこに再び地獄絵図が現れる!
 無敵の盾(アイギス)を操る花婿に獣の花嫁という規格外の面々を狙うは怪人ネックレス。巻き起こる殺戮は血族因縁の末路か、またも百鬼外法(ひゃっきげほう)に起因するものか。そして一人真相に立ち向かう「探偵失格」に訪れる結末とは、果たして──!?
とりあえず蛮刀さんは一度繰り出せば殲滅必至の切り札中の切り札にも関わらず、存在自体がギャグだというのは完全に理解しました。というか、蛮刀さん、軍の上の人達にもギャグキャラだと思われてるだろ。でないと、あんな登場の仕方しないよ! 普通に車とかに乗ってきなさいよ。わざわざあんなものに搭載されて登場する必然性が皆無なんですが!! 絶対面白がられてるから。超人神薙を投入するにはアレぐらいしないと、とかもう完全にびっくり箱扱いされてるから。気づいてないんだろうなあ、蛮刀さんは。何しろ蛮刀さんだし。ええいっ、ラスト近くにチラッと登場するだけなのに蛮刀さんのこの存在感は何なんだw さすが、作品屈指の萌えキャラである。
って、何故かこのシリーズの感想の冒頭は超人・神薙から入らないと筆が乗らないという呪いがかかっているようで、今第一作の感想見てみたら、冒頭がやっぱり神薙語りであったのでした。
というわけで、舞台は現代にも関わらず、どこか文字を右から読んだり、平仮名をカナ表記するようなのが似合いそうな似非大正レトロな雰囲気のトンデモ奇譚、再び、である。相変わらずの怪物化物人外妖怪の類に魔術妖術化け術似非科学のオンパレードで、そこに南朝北朝の朝廷分裂時代から続くという一族の恩讐と因業とが絡み合う血で血を洗う惨劇の結婚披露宴が幕を開け、とやたらと軽いノリノリのテンポとデロデロドロドロの首まで浸かるような泥沼血みどろの救いがたい展開が相まって、全く以て独特の雰囲気をまき散らしている。この調子に乗った胡散臭さ大爆発の作風は好みが別れるところもあるかと存じますが、ワタシなんぞは大好物なんですよね。
何気に悲壮感が敷き詰められた流れにも関わらず、音子先輩がキャピキャピしすぎてて大丈夫か、と心配になるほど。それでいて、この人外道冷酷でも何でもなく、わりと普通に友達になった子を心配し、可愛い後輩に心を揺らす女の子の一面を見せてくれるのが、なかなか胸をぎゅっと鷲掴みにしてくれるのです。
対する探偵失格・空野くんと来たら、お前年上の女の人なら誰でもいいのか、お姉ちゃんならなんでもいいのか! という姉系節操なしなのでした。だから、通りすがりの人にまでお姉ちゃんと懐くな!

普通に書けば底なしにダークで殺伐とした話になるだろうに、人死もわんさかと、人間の悪意や業をこれでもかとぶちまけておきながら、それをこれだけネアカにドタバタと賑やかに仕上げ、オチもしっちゃかめっちゃかにしながら何だかんだと情理を交えて綺麗に納めてしまうあたり、なかなか得難い筆致の人なんですよね。
果たして売れ筋とは言いがたいんですが、この手の作品を書く人はやっぱり貴重だと思うので、なんとか続きを書き続けてくれたらなあと願うばかりです。あー、面白かった、と。

1巻感想