ノーゲーム・ノーライフ1 ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです (MF文庫J)

【ノーゲーム・ノーライフ 1.ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです】 榎宮祐/榎宮祐 MF文庫J

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召喚されたのは、ゲームで命も国境線も……貞操も(?)決まる世界!?
ニートでヒキコモリ、だがネット上では都市伝説とまで囁かれる天才ゲーマー兄妹・空と白。世界を「クソゲー」と呼ぶそんな二人は、ある日“神”を名乗る少年に異世界へと召喚される。そこは神により戦争が禁じられ、“全てがゲームで決まる”世界だった――そう、国境線さえも。他種族に追い詰められ、最後の都市を残すのみの『人類種』。空と白、二人のダメ人間兄妹は、異世界では『人類の救世主』となりえるのか?――“さぁ、ゲームをはじめよう”。
ひやああああっ、なんじゃこりゃオモシレー!!!
ごめんなさい、ぶっちゃけ舐めてました。筆者と挿絵が同じ人という時点で購入対象外に放り出して、すんませんしたーーー!! まったく、固定観念というものは恐ろしい。
いやもう、マジで面白かった。漫画家の人が書いた割には……とかじゃなくて、文句なしに面白かった。ひたすらに面白かったんですよ。参った。

これは現実世界からドロップアウトして、ひたすら引きこもってゲーム廃人と化し、ありとあらゆるゲームで完全勝利を続けていた天才ゲーマー兄妹が、ゲームによってあらゆる全てが決定される異世界へと、その世界の神によって招かれた事によって巻き起こる、世界を征服し神へと至る物語。
力も技術も経済力も何もなく、他の種族が自在に操る魔法の力や超感覚も何も無い、持たざる弱者たる人類がその身一つに宿した武器はただひとつ。知恵と呼ばれる頭脳の力。
ここで繰り広げられるのは、まさにその悪知恵のみを武器として、ルールそのものをひっくり返し勝ちをせしめる智謀知略のせめぎあい。
いやもう、これが痛快なんですわ。殆どチートと言っていい能力を有し、最初からイカサマ前提でゲームの舞台から自分に有利になるように設定して最初から勝った気で虫を踏み潰すように蹂躙する気満々の相手を、ブラフ、ハッタリ、意識誘導、あらゆる手段を駆使しながらも、全く異能力を使わず頭脳戦だけでひっくり返し、ぐうの音も出ないまでに完璧に叩き潰す展開は、もう快の一言。
まさに無敵。敗北知らずの空白兄妹の勝利宣言には背筋が震えましたよ。ヤバイ、二人共思いっきり社会不適合者でダメ人間でまともな神経が何本も断線しているような壊れた輩のはずなのに、めちゃくちゃかっこいいと思ってしまったw

そう、この物語の主人公は兄と妹、二人で一人。いっそ清々しいほどの共依存。それぞれ得意分野が違うことから、コンビとして最強を誇るのだけれど、それ以上に二人共お互いに依存しまくっていて、ちょっとでも離れ離れになると対人恐怖症とコミュニケーション障害が炸裂して、まともに会話も出来なくなるほどの壊滅的に終わっている二人なのである。
これまでも、兄妹の仲が良すぎるくらいのキャラなんて掃いて捨てるほどほど居ましたけれど、主役がここまで連理比翼で一心同体というのは本当に珍しいんじゃないだろうか。一応、他にヒロインとして人類領土の元姫さまという子がいるのですが、この娘はエロスと驚き役担当であって、とてもこの二人の間に割って入れるような役所じゃないんですよね。というか、この空白の兄妹が常に一緒にいることはこの作品の大前提と言っていい訳で、他の誰も割って入れないでしょう。これ、兄妹である意味人間関係完結してしまってるし。これ以上始まらないし、終わらない、というくらいに完成されてしまっている。
本来、常勝不敗で敗北を知らない無敵キャラ、というのはどこか打たれ弱いところがあって脆さを備えているものなのですが、この作品では二人一組、一心同体というのが思いの外強力に作用してる。他者には無敗でも、兄妹同士の対戦では常に互角。二人はちゃんと敗北の味を知っていて、その悔しさもこれでもかというくらいに味わっている。増長は常にお互いによって諌められ、メンタルへの揺さぶりもお互いに支えあうことで拭われている。それでいて一気呵成に攻めるときには相乗的にイケイケドンドン押せ押せドンドンになって、攻撃力は乗数倍。これは強いよ。
さらに、発想が完全に斜め上を行っている。チェス勝負でのあまりにもとんでもない展開への持って行き方には、もう観客と一緒になって「はああああ!?」と声を上げるばかりでした。実際はかなり瀬戸際の勝負で、空にしても白にしても想定外を何度も強いられる展開だったのですが、崩れそうになる所を兄妹で守り合い支えあい、自信満々の傲岸不遜さを最後まで損なうことなく、完膚なきまでに蹂躙し返した流れには惚れ惚れしました。そこにとどまらず、人類全体に対する野放図な宣誓に、のべつまくなしの全世界への宣戦布告。そりゃあテンションもあがるてもんですよ。
いやあ、すこぶる面白かったーー!

自分は過分にも知らなかったですが、この人【いつか天魔の黒ウサギ】のイラストレーターだったんですねえ。他にもちゃんと単行本を出している漫画家さんでもあり、なるほど、肝心の挿絵の方はカラー口絵から巻末の漫画までさすが本職という出来栄え。しかも、自分で文章も書いているわけですから、ここでこの絵が欲しいというのを存分に叶えられるんですよね。それどころか、イメージした絵にあわせて文章も変えられるという本来ならありえない大技まで繰り出せるわけで。そりゃあ、存分に書けるし、描けるよなあ。
問題があるとすれば、作業量が普通の小説家やイラストレーターの倍掛かるというところくらいかw

なんにせよ、もちろん続きは出してくれるんですよね? 出たら即効で確保します。当然です。