ニーナとうさぎと魔法の戦車 3 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 3】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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ラビッツの前に現れた気弱な美少女。彼女は実は…!?
温泉旅行に出かけた私立戦車隊・首なしラビッツの面々。
久しぶりの休暇に羽を伸ばす一行には、妖精のような儚い美しさをもつ少女が同行していた。
少女の名はアリス。ドクターのもとでメイドとして働く彼女は、テオドーレの事件で研究所から脱出し、ラビッツに救助を求めた人物だった。ドクターの命でラビッツと同居することになったアリスだが、なぜかみんなから距離を置くように振る舞う。アリスと友達になりたいと思うニーナも、彼女から強烈に拒否されてしまう。
これにはアリスの過去と驚くべき秘密が関係していて…?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第3弾!!
2巻のテオドーレ・ショックもあってか、戦々恐々となりながら読んだ【ニーナとうさぎと魔法の戦車】第三巻。もう出てくる新キャラは非業の死を遂げるのがデフォなんじゃないかという強迫観念に苛まれながら開いたページ。速攻、見開きのカラー口絵では恐れていたようなシーンが(半泣
もうやめてよね〜〜。
前巻でラビッツに助けを求めてきた少女アリス。てっきりその時限りのモブキャラかと思ってたら、何故かこの巻ではラビッツに預けられて一緒に生活することに。話を聞いてみたら、この娘もまたとてつもない悲惨な過去の持ち主であり、現在進行形で災厄の塊だったという、ニーナよりもある意味テオドーレよりもひどい境遇の娘だったのです。ってか、この娘過去がヘヴィーすぎるよ。ある意味気の弱さ、内向性が負の感情に沈まずに自戒へと繋がったという稀有な例。ダークサイドに落ちてても何らおかしくはない境遇だもんなあ。
何よりも、彼女には力があった。
思うがままに振るったならば、誰も逆らえようのない強大すぎるくらいに強大な力だ。
あの中将、ホント馬鹿なんじゃないかと思う。藪をつついて蛇を出す、じゃないけれど、下手をすれば再び人類の敵を生み出しかねない安易な暴挙だった。信念があるのはいい。だが、自分の信念こそ唯一無二と断じて他の価値観を徹底的に排する考え方は、容易に視野狭窄を引き起こし、自分に都合の良い情報の取捨選択にかまけてしまう。それじゃあ、自分に甘いただの駄々っ子だ。恐るべきは、彼がその地位に出世するまでそんな無茶苦茶がまかり通った事だろう。まったく、馬鹿じゃないのか?

アリスの極端すぎるほど極端な自虐性は正直鬱陶しかったのだけれど、彼女に纏わる事情を知ってしまえば、自分自身の危険性への自衛とせめてもの縁をという人として最低限の温もりを欲する気持ちの鬩ぎ合いの結果ともなれば、同情しか湧いてこない。ギリギリの、本当にギリギリの妥協点がアレだったんだろうなあ。
テオドーレは多分に間違っていたと言わざるを得ない。彼女はそうやって、大切な物を手に入れるチャンスをいくども見送って、復讐にかまけてしまったのかと思うと……またぞろ悲しくなってきた。レオも相方なら、彼にこそ何とかして欲しかった。

さて、しかしこれ、言っちゃあ悪いけれど、大事故が起こったタイミングが良かったとしか言いようが無い。尤も、事故が起こった理由は中将の強引な施政にあったわけで、野村監督の名言じゃないですが「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ですなあ。面白し。
幸いにして、本当に幸いにして今回は犠牲者は出ず。本当に出なかったよ。良かった。不憫な子が不憫なママ不憫な末路を辿るのは見ていて忍びなさすぎますからねえ。
しかし、アリスの能力はある意味戦闘車両を操れるよりもよっぽど強大だと思えるんですけどね。ワンマンアーミーどころか、ワンマンゼネコンだもんな、これ。

1巻 2巻感想