フィオナ旅行記 (講談社BOX)

【フィオナ旅行記】 小雨大豆 講談社BOX

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最新スタイル(文体)で描く“冒険ガール”登場!!
「good!アフタヌーン」誌によるブログ連載で話題を呼んだ“歓びと哀しみの旅行記”が、待望の単行本化!

過酷な旅を“歓び”と“哀しみ”で綴る、まったく新しい試み。究極の“ブログ文体(スタイル)ファンタジー”誕生!

遠く彼方の異世界の住人、フィオナ・ローエングラム嬢がブログで綴る「過酷なサバイバル生活」。元軍人の彼女が、奇妙な生態系に覆われた世界を旅する中で、個性的な人々と触れ合い、何を感じ、何を見つけるのか――。そんな異世界の旅の記録が、「笑い」と「涙」の「未知なる体験」へと貴方を導く!
これも結構前に購入はしてたのだけれど、魔窟の海に沈んでしまい長らく積み、というか埋もれていたのがひょんな事から飛び出てきたので、エイヤッと読んでみた次第である。
結論……即座に2巻、注文しました!
ブログ形式、言うなれば写真付きの日記形式の本ということで、一気には読まず一週間くらいかけてチマチマと読んでいたのですが、これが思いの外面白い、面白かった。遠く彼方の異世界、と言いながらも実際は遥か未来の地球のようなのですが、本当に数万年単位かと思われるほど未来のようで、自然環境から生態系にいたるまでまるで異なるワンダーランドがそこには広がっていたのでした。
そんな不思議な動植物や過酷だったり芳醇だったりする自然の中を旅し、それぞれに異なる文化を有した国々を巡り、様々な人達との出会いと別れを繰り返す、まさにこれぞ旅行記!
読んでて、こんなに素でワクワクさせられるとは。
変に小説じゃなく、起こった出来事を主観的に後述するブログという形式だからこそ、フィオナが実際に見聞きし、体験し、感じたものが伝わってくる。その日起こった事を思い出しながら記述するスタイルだからこそ、行間から実際にこの文章を打ち込んでいる時の喜び、怒り、哀しみ、楽しみがそのままダイレクトに押し寄せてくる。前日まであんなに楽しそうに記してあったブログが、その日一転、淡々とした何かを押し殺したような形ではじまった時には氷の塊を飲み下したような感覚を味わい、はたまた、絶体絶命のままその日の記述が終わってしまい、やきもきしながら開いた次のページで、急転直下の出来事に目を白黒させ、と飽きることが全然ない。まさにこれ、冒険譚であり、躍動の日々を描いた旅の日記なのだ。
かなり初っ端の方で、いきなり精神をヤスリで削られるような展開に打ちのめされていったいどうなることかと思ったけれど、いやはや本当に楽しかった。実際、旅の空での出会いと別れの中には、笑って手を振り再会を約束してのものと同様に、辛く悲しく切ない別れもまた多く、これもまた一期一会というやつか、と思わず窓を振り仰ぎ、雲の隙間に覗いた青い空をぼんやりと眺めることもしばしば。
ともあれ、全体を通しては未知の体験に心躍らせる事の方が多かったわけで、自然の秘境や古代遺跡の探検もさる事ながら、補給や観光の為に国に立ち寄った時など、ちょっと【キノの旅】を彷彿とさせるそれぞれの特色を有した都市国家が目白押しで、なんかもう凄いぜ遠未来! て感じ。
途中から、旅の道連れが一人加わったことで、ブログの記述も二人が交代交代にやることになり、主観と客観が入り混じったものになるのですけれど、この一人の視点から二人の異なった視点へと移行してからも、またドタバタと喧嘩してイチャイチャしてという賑やかな二人旅に変わって、より面白さの幅が広がったような感もあり、この旅行記、二人旅になってからこそが本番だったと言えるかも。

印象的だったのは、やはり最初の幼馴染の夫婦であり、アン王女であり、そしてツンデレなモバイル職人のおっちゃん(笑 なんだあの可愛い老人はw

既に二巻の方も注文してあるので、二人の旅の続きを足踏みしながら待ちたいと思います。

と、作者のことを調べた時に知ったのだけれど、この人今はニコニコ漫画の方で【九十九の満月】という作品を連載してるんだそうで。ちょっとこれから読んでみたいと思ってます。