バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)

【バタフライ×ブレイクダウン 1.君が世界を救うというなら】 佐々原史緒/H2SO4 ファミ通文庫

Amazon

世界の運命、故障中【ブレイクダウン】!
祐吾の前に突然“空から降りてきた”少女、桜庭せせりは未来からきた「時軸修復士」だった。何でも祐吾の時代のとある些細な出来事が巡り巡って未来の運命を大きく変えてしまうのだという。それを阻止するための彼女の任務とは――「はぁ!? TVの向こうのトップアイドルの○○を××しないと世界滅亡!?」「協力してください!」「え? ま、任せとけ! でも、まずアイドルに会うのがそもそも無理じゃね!?」 時を越え地位【ポジション】を越える、崖っぷちの ボーイ・ミーツ・ガールズ開幕!!
毎回、佐々原さんが新シリーズ出すたびに同じ事を思ってしまうんだけれど……佐々原さんって絶対主人公を女の子で書いた方が面白い気がするんだよなあ。
佐々原さんのこれまでの作品を読んでると、男の主人公ってどうしてもキャラが弱いんですよね。自己主張も精神的にもややも薄弱で、此処ぞという時の決断も客観的に見るとしっかりと覚悟は決めてるんですけれど、全体的に流されがちで、微妙に魅力に欠けてしまうのです。その点、女性が主人公だと感情豊かでアグレッシブ、それでいて肝心なときには凄まじくクレバーな腹黒になり、ど根性も発揮する、物語の主導権を握って離さない強さがあるのです。
【トワイライト・トパァズ】のトパァズ然り、【暴風ガールズファイト】の麻生さん然り、【ドラグーン・デリバリー】のコゼット然り。
今回も読んでて思ったんですよ……これ、高峯揚羽が主人公で彼女視点で書かれてた方が面白そう、とか。
だって、これ、アイドルグループ「クアトロA」の面々が面白すぎるでしょう!? 逸材ですよ、この娘たち。公私のギャップが凄まじすぎて、それぞれの素の顔見た時には笑ったのなんの。それなのに、出番が少なすぎるという勿体なさ。だから、むしろクアトロAのアイドル活動を見たくなってしまったんですよね。その上で、この四人のメンツが、アイドルとして芸能界でのし上がっていきながら、同時に突然現れたせせりの持ち込んできた世界滅亡のバタフライ効果の修復作業に協力していく、という展開だったらば、揚羽以外のあの面白すぎる三人もそれぞれに個性を発揮して暴れられますし、揚羽もあのやたらと黒そうな女王様気質を遺憾なく発揮しつつ、記憶喪失、アイデンティティの確保、自分探しに記憶を取り戻すことによる仲間との距離感の変化など、主人公らしい煩悶のネタは尽きませんし。
と、幾らそんな事を言っても今更話が変わるはずもなく、ならば主人公の祐吾に頑張ってもらい、クアトロAの連中も引き立ててくれるのを願う他ないのですが、今のところそのお調子者の性格もあってか流される一方で、彼の中の芯の通った行動原理、世界滅亡の回避という大仰すぎる理由以外の、身近な彼だけの動くべき理由というのを見出してくれないと、物語の牽引役たる主人公としてまだまだ物足りなさすぎるんですよね。頑張ってくださいよ〜〜。
しかし、燿奈とアリスはまあまだ判るとしても、元気っ娘のあやかの素の顔は予想外過ぎてひっくり返りましたよ。幾らアイドルになるためにキャラ作りが必要とはいえ、そこまで変えるのは色々と無茶すぎる。別人どころの話じゃないじゃないか(笑
でもこれなら、素に戻って変装したらファンでもまず気付かんな、うんうんw

佐々原史緒作品感想