しずまれ! 俺の左腕 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【しずまれ! 俺の左腕】 おかもと(仮)/NOCO このライトノベルがすごい! 文庫

Amazon

善良なリア充である高校2年生の篠中紳士は、ある日謎の飛来物と衝突、異世界の魔王に憑依されてしまう!紳士の左腕を乗っ取った魔王は、その恐るべき力を用いて……ネトゲ三昧!?「くくく、携帯をよこせ!まとめサイトを見るのだ!」「やめろ魔王!くっ、しずまれ僕の左腕……!」リア充から一転、邪気眼へとクラスチェンジしてしまった紳士の運命は!?『伝説兄妹!』のおかもと(仮)が贈る、笑いと感動の庶民派ラブコメディ、いよいよ開幕!

あかん、アホみたいに笑ってしまった。こういうのは当人が真剣であればあるほど傍から見ると滑稽で笑えてしまう。これが本当に邪気眼で演技やなりきりが入ってたら痛々しいだけなのだけれど、紳士くんは本気も本気、真剣で深刻で必死で一生懸命な対応の結果として「くっ、しずまれ僕の左腕……!」と叫ぶわけで、この実際のシリアス度と客観的に見た場合の頭がおかしくなったとしか思えないバカバカしさの温度差、ギャップが掌をくすぐる妙味に至っていて、もう笑いのドツボにハマってしまいました。
これ、紳士が本当のリア充で邪気眼なんて単語すら知らないカタギの人間であると同時に、当人の性格が結構クソ真面目で思い込んだら一直線、な所も作用してるんだろうなあ。
彼の周辺で起こっていることがバカバカしければ馬鹿馬鹿しいほど、彼のクソ真面目な反応が笑えてしまう。魔王が触手を使って次々に犠牲者を生んでいくシーンにしても、普通ならドン引きするか呆れるかするところを、彼だけは本気で悲痛な叫びを上げ、何も出来ず魔王の好きにさせてしまう自分の無力さに嘆くのである。
高らかに哄笑する魔王。後悔に呻く紳士。悦楽に悶える犠牲者たち。
……誰もツッコミ役が居ねえ(笑

とまあ、傍から見ると完全に病気か脳を損傷した後遺症、という有様になってしまった紳士なのだけれど、そんなおかしくなってしまった友人から離れる事無く、本気で心配してくれる二人の友人、巻名と喜多郎がいいやつ過ぎて、この主人公マジでリア充である。こんな親友がいるだけで、もう人生勝ち組だよ。
まあ相手はオタクに戦闘民族なんですけどね。魔王や勇者や自衛隊や、とコンバットな面々が後半に行くにつれて続々と登場する中で、何故巻名が最強っぽいんだ?(笑 いや、一応勇者とか桁外れの能力を持ってるんだけれど、一般人にも関わらず巻名遜色ないんですけどw それでも報われない不憫枠なのが可哀想な巻名であった。
後半は何がどうなったのか気がつくと、相入れぬはずの人間と魔王のピュアラブストーリーへと進展していた。あれ? この男、惚れっぽい上に一途すぎる!! その上魔王も満更じゃないどころか、こっちはこっちであっさりと惚れちゃってるし。そんな二人が強制的に引き裂かれ、離れ離れになりながらも求め合い、二人一緒にいるために人類の敵になることも厭わずに、こんどこそ本当に「力」を求める、というこれはこれで王道展開に。
……それはそれで、浪人勇者(現実逃避中)の赤井川先輩がブチ切れるのも、まあ仕方なし。許可する、爆破しろ。爆殺しろ。結局この野郎、魔王に取り憑かれても構わずリア充かよ! リア充は何がどうなろうと結局リア充かよ! よし、爆発しろ。
あ、でもあのラストシーンのイラストは至上の美しさでした。あれは素晴らしい。