Landreaall 20巻 限定版 (ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 20 限定版】 おがきちか ZERO-SUMコミックス

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女神杯も決勝戦でディアを花冠の乙女に選び、カイルと互角の勝負を見せるDXだったが、ゼクスレンとフィルから衝撃の事実を知らされる。
混乱のまま試合に臨んだDXの結末は――?
なんか、怒涛の展開だーーー!!
DXがついに本気を出した、というか本気になってしまった。ついに、である。ある意味、彼はこれまでずっとふわふわしたままで来てたんですよね。勿論、友人や妹のことなど諸々で本気になって立ちまわることは珍しい事ではないのだけれど、なんというかDXが自分のためにひたむきになり、地に足をつけて何かを勝ち取ろうとする姿勢は、マリオンとの一件以来ずっと遠ざかっていたように思う。抜け殻というんじゃないけれど、マリオンへの失恋はDXにはそれほど大きいものだったのだ。幼少の頃から人生の目標として想い定めて鍛えあげてきたものだったし、その一念はついに火竜を打ち倒すほどのものだった。それだけに、マリオンとの別れは彼に透徹としたものを残していったように思える。
故にこそ、そのDXの透明に明瞭に火が灯った瞬間には、胸が熱くなった……と、同時にマリオンとの顛末を思い起こせば確信のように、彼が本気になるというのはそれ自体が巨大なフラグのようなものなんだよなあ、と悪い予感が這い出してくる。
案の定であった。
いや、前からディアには結婚相手が居て、それを彼女は受け入れている、という話はDXの関知しない所で話題になってたのだから、この展開は予想して然るべきだったんですけどね。
それでも、彼女の結婚は単なる政略結婚どころの話じゃない、ここまで国家の礎となり得る重大な案件だったというのに衝撃を受ける。
そも、ここまで秘されてた王国上層部で起こりつつ会った新体制への発起と、ここまで密接に関わっていたとは。ディアの結婚の真実が明かされるということは、アルトニア王国でこれから何が起こるかという新展開の開陳と直結していたわけだ。二重の大衝撃ですよ!!
って、これだけでも十分唖然呆然の展開だったのに、そこにさらにクエンティンの企てまで重なって、クエンティンが連れてきていた女性がまさかの登場。彼女の素性については、クエンティンがリゲインの元を訪れて話した内容や、フィルたちが遭遇した彼女の様子などから容易に推察できてはいたものの……それでもタイミングがタイミングだっただけに、ビックリだ。普通に登場しただけでもビックリだったはずなのに、出てきた途端アレだもんな!! びっくりどころじゃなく、驚愕ですよ。もうココらへん、新事実の連続で頭をぐわんぐわん振り回されたみたいな気分である。んでもって、トドメにイオンの無邪気な一言だもんなあ。
ガチで、あれはトドメだ(笑 いーーおーーん^ーー!!

しかし、ここまでの展開、明らかに詰みは詰み……ああ、DXとディアの恋のお話ね……なんだけれど、これまで明らかになった経緯と状況を照らしあわせ、さらにこれから起こる事について各人の動きと思惑を追っていき、それらを細かくつなぎあわせていくと……微妙に抜け道らしきものが用意されている節が透けて見えてくる。
これは、あまりにも細く拙い道だけれど、なんて言うんだろう……DXがディアの為にそれまで流されて参加していた女神杯の決勝で、本気で勝ちに行った事実というのは、大きな前例となり得るのかもしれない。
その道をたぐり寄せるために、クエンティンの登場はまさに絶妙のタイミングだった。勿論、クエンティンの思惑はまったく別のところにあるのだけれど、DXの事についても彼の本意についても、当人の意図していないところで、或いは違うルートの命脈をつないだ、という感が窺い知れる。
それにね、マリオンの時と違うのは、彼女は手の届く範囲にいて、また彼女の想いもまた違う方を向いてはいないということ。あー、でもそれは口にしなければDXは受け取らないんだよなあ。口にしないという意志を尊重する男だから。それは彼の長所でもあるんだけれど、時として短所となるところだとこういう場合は思ってしまう。
それは精一杯の告白なんだ。それでいて、突き放せない踏ん切りを無理矢理につけようという足掻きである。だからこそ、ディアの決意へのDXの献身的な肯定は、自分を殺す優しさは、きっと彼女が求め望んだ言葉なのだろう。でもだからこそ、その言葉は、
手に入らないものを欲しがるのは、辛いって知ってる。
だから、君のことは好きにならない。
きっと、ずっと好きにならないよ。

彼女をも殺すに違いない。

断ち切られてこそ、殺されてこそ、それが消せない傷であったのだと思い知らされる時もある。
或いは、此処こそがメイアンディア・クラウスターの運命の瞬間だったのかもしれない。

おがきちか作品感想