はたらく魔王さま! 1 (電撃コミックス)

【はたらく魔王さま! 1】 柊暁生/原作:和ヶ原聡司 電撃コミックス

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勇者に打ち砕かれて異世界へ撤退した魔王サタンがたどり着いた先は、東京都渋谷区笹塚だった!? 再び侵攻する力をたくわえるため、魔王改め真奥貞夫は、今日も幡ヶ谷駅前のマグドでアルバイトに励むっ!
電撃文庫にて絶賛シリーズ展開中の【はたらく魔王さま!】のコミカライズ作品である。これ、原作大好きなんですよ。異世界から紛れ込んできた人間が現代日本の中で生活していく、という話はわりと昔からあるんですけれど、どちらかというとそれらの作品というのは異世界と日本の文化的なギャップに戸惑い変な行動に出てしまうキャラを面白おかしく描くパターンが多いものでした。でも、この【はたらく魔王さま!】というのはその手のとは違っていて、「都会で暮らす」という事をものすごく丹念に描いているんです。身に覚えのある様な普通に生活している時に体験する細かいあれこれが、山と描写されているのです。お陰で、びっくりするくらいの生活感が、作中から感じられる。それが、読んでて凄く楽しかったんですよね。

さて、そんな作品の漫画化ですから、正直タイトルコールを聞いた時にはどうなんだろうと出来栄えに疑問をいだいたものでしたけれど……まず、この表紙を見てとりあえず一巻は買ってみよう、と思ってしまったんですよ。
ちょうど、これが原作小説の第一巻と第二巻なんですけど、
 
一瞬、原作のイラストレーターが漫画を書いたのかと思ったほど、キャラの特徴を掴んだデザインだったんですよね。特にあの恵美の憮然とした顔とか、まさにこれぞ、っていう表情なんですよ。
これでもう、読みたい、って思ったんだな。

で、中身の方も実際期待通り、この魔王と勇者のやり取りとは思えない世知辛さ…(笑
この日本で刃物出して暴れたら、そりゃ警察に捕まりますww そう言えば、原作でも第一巻ではちゃんと仕事している警察の優秀さに感心したものでしたっけ。生活安全課、なめたらあかんで。
ただ、原作の描写をなぞっているだけじゃなくて、しっかり雰囲気を掴んで【はたらく魔王さま!】してるのが実に素晴らしい。その中でも特に良かったのが、最後らへんの恵美の同僚にして親友である梨香とのやり取りは、なんか凄く胸が暖かくなった。大事故に巻き込まれた恵美を、一人にしておかずに無理にでも自宅のマンションに連れて帰って今日は泊まっていくように言い含める梨香。ここっで原作でもちょっと感動したシーンだったんだけれど、財布をなくすわ大事故に巻き込まれるわと散々な目にあって、それで誰もいない家に帰って暗い部屋の中で怪我の痛みを我慢するのって、すっごく心細くなりますよね。それを気遣って、無理矢理にでも恵美を一人にさせまいとする梨香の心遣いが、この漫画からも一コマ一コマから伝わってきて、ホントじんわりきた。
こういう友達一人でも、日本に来てすぐにできたのって、恵美にとっては凄く幸いな事だったんだろうなあ……まあ、異世界から日本に魔王を追いかけてきて、すぐにちょっと高めのマンションに入居するわ、OLとして就職するわ、とこの女の生活力はパないんですけど。さすがは勇者である。

漫画になってよかったのは、エミリアの元の世界での仲間のビジュアルが明らかになったこと。逆に漫画になって大変だったのが……大家さんのビジュアルが明らかになってしまったことでありましょう。
なんでモザイク掛けないんだよ!!

原作小説の感想