修羅場な俺と乙女禁猟区3 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区 3】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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魅惑のデッド・エンド・ハーレム遂に終幕!

二学期が始まって早ひと月。高原学園高校は数週間後に控える学園祭の準備で活気付いていた。そんな中、彼女は言った。「もうやめようと思ってるんだ」唐突な申し出に思考が追いつかない節【せつ】に、彼女はさらに言葉を継ぐ。「《ゲーム》のことだよ」予想外の展開に節は、彼女の真意を推し量ろうとするが、その時の彼はまだ知らなかった。この告白が誘う《正解》の向こう側に待つ運命と勝者を――! 魅惑のデッド・エンド・ハーレム衝撃の最終章開幕!!
うむ! と、なんか一人で勝手に納得してしまいましたが、正解から動機までほぼこうだったら面白いのになあという予測通りにピッタリと収まったので、なんかノーミスでジグソーパズルをピッタリと完成させたような達成感が。


と、ここからはネタバレになるので一応収納してスペース空けます。
まあ二巻の段階で、話の構成からして五人の婚約者の中には正解はいない、という流れに乗ったので自慢にはなりませんけれど。正解に至るまでのゲームルールに裏読みOKという括りがついた時点で、正解は睦月という可能性は一気に膨らんでましたし。
何より、睦月が正解というのは実のところ最初から彼女が明言、というか節と睦月の約束の中で言及されてるんですよね。彼女との「遠々原家を破滅させる」という約束は、普通に五人の婚約者の中にいるという節を愛する正解、を選ぶという展開だとまず果たされませんし。「遠々原家を破滅させる」って、自分も含めてと言うことになりますしね。
ならば、結ばれてなお共に破滅する事を良しとできる、それこそ運命共同体みたいな存在……って、モロに睦月そのものでしたからね。

ってかさ、一巻から表紙見たら睦月だって思うじゃんw

それに、肝心のプレイヤーである五人の婚約者たちですけれど、この中で本気でヤバイ、狡猾で用意周到で溢れんばかりの愛憎を制御しきった超一級のゲームプレイヤーは最初の一人、天野崎朱離だけでその他の四人はいい意味でも悪い意味での普通の女の子で、ゲームプレイヤーとしては未熟もいいところでしたし、そもそも遠々原家への憎悪を個人的に滾らせているような子も居ませんでしたし。役者不足だったんだよなあ。その意味では、そんな子たちを集めてなおこれだけギリギリ瀬戸際のゲームを成立させた遠々原十慈郎のゲームメイクが凄かったって事なのでしょう。
まあ、やや駆け足にこの三巻でまとめにはいってしまい、伊堂寺依己子、蝦夷木江梨、羽生田宇海の三人が割り食った、特に節と個人的な絡みすら殆ど与えられなかった羽生田の不遇っぷりは、本来ならもうちょっとマシだったんじゃないかな。羽生田の設定なんぞは、一巻丸々使っても余りあるものでしたから。最初から三巻構成だったとは思えないし。

結局、一番難儀だったのは主人公の精神構造だったということなんでしょうか。手段と目的が逆転する、というのはよくありますけれど、そもそもの目的設定からして動機が存在しないというのは相当に壊れているんじゃないかと。まだしも、情をもって愛しているから、と設定したほうが分かりやすいくらいですし。
個人的な感情としては、ここは「睦月が特別だから」という最初の動機付けがあった方が嬉しかったんですけどね。でも、何にもないはずはないんだよなあ。口では色々言ってますけど。何だかんだと情に甘い男ですし。

何れにしても、難題と思われた「デッドエンドハーレム」というテーマを綺麗に片付けた話の顛末はお見事でした。モヤモヤしたところのないスッキリとした終わり方で、納得もいきましたし。何より理由付けはともかくとして、一番選んでほしい選択をしてくれましたしね。面白かったです。

1巻 2巻感想