デキる神になりますん2 (ファミ通文庫)

【デキる神になりますん 2】 森田季節/nauribon ファミ通文庫

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檜沢にネズ耳神様が降臨!?

わたし、くらがりさまと申します。鎮守の神、まこう様との永きに渡る冷戦も雪解けを迎え、復活したわたしたちの友情パワーはまさにストップ高なのです! この勢いで檜沢をさらに盛り立てるべく不退転の決意で――あ、親力の人じゃないですか、何か用ですか? え、お化け騒動? それも神様を騙る不届き者ですって!? わかりましたっ。再びくらがり流神コンサル術をお見せしましょう! 神愛でる地で始まる神サマ更正コメディ第二幕!!
ちょっとした行き違いから生じてしまった人間関係ならぬ神様関係に入ってしまったヒビ。それが個人個人の間だけで済む話ならばまだマシなのだけれど、それぞれに相応の立場というものがあったならばその不仲、人間関係の亀裂は即座に関係各所へと波及していってしまう。責任多き立場ならば尚更の事だ。
況してや、それが土地を管理する鎮守の神様ならば、その土地の栄枯盛衰にまで影響が及んでしまう。
神様だって、現実に存在してしまえば浮世の存在。その身は世俗にまみれ、幾多のしがらみに縛られてしまうものなのです。しがらみや責任を前にすれば、尋常ならざる神力などは意味を成さず、必要とされるのは雁字搦めに絡まってしまったしがらみの糸を丁寧に解きほぐしていく粘り強さと根気強さ、そして諦めの悪さなのでしょう。
得てして、人も神も、そんな根気は持ちあわせておらず、しかし責任を放棄して逃げ出すような不誠実な真似も出来ず、ドツボにハマっていくのです。
これ、神様の話なんですけれど、話の内容があまりにも世知辛いというか、身につまされる話でねえ。「おおはつね」様が酔った拍子に何のしがらみもない一成に、ついついこれまでずっと溜め込んできた弱音を吐露してしまい、緊張の糸を切らして泣きだしてしまったシーンには、言葉を失ってしまいました。
だって、本当に辛そうなんだもの。逃げたくても逃れられない責任の重さに、頑張って足掻いて耐え続けて、それでもどうにもならずに全部打ち壊れてしまいそうな現実を前にして、疲れ果て怯えきり繕い続けてきた威厳も何もかも取りこぼして、咽ぶように泣き崩れるおおはつね様の姿が本当に切なくて、悲嘆にあふれていて、もう見てて胸がいっぱいになってしまったんですよ。
剥き出しのソウルが、そこにはあった。それは痛みに震える弱くも儚いものだとしても、間違いなく剥き出しにさらけ出されたソウルだった。最近、森田さんの著作でもこんなシリアスというか切実な場面を見ることはなかっただけに、余計に沁みたというかなんというか。久々にこの人が【ビター・マイ・スウィート】シリーズの作者を思い出した場面でした。森田さんの本、単行本で出された方には予算やスペースの関係で手を出してないんだけれど、こう久々にガッツリと根深く書かれたこの人の本を読んでみたい気持ちになりましたねえ。

全体に、ポップでリズム感のよい筆致で描かれるのは、ここ最近の傾向にも現れていますけれど、中でも本作は丁寧に田舎の温泉街の長閑なほんわかした空気感を描き出していて、お気に入りだったんですよね。妙に世知辛いというか俗っぽい神様たちの馴染みっぷりも合わせて。どうもこの巻で終わりみたいですが、もうちっと続きを読んでいたい一作でした。
それと、表紙もなんか好きだったんですよね。なんか「ようこそ」と歓迎されているみたいな、これから門前をくぐって物語の中へと訪れる気分にさせてくれるというか。こういう、ちゃんと表紙は掴み、というのを心得て色々と考えてデザインされた表紙が増えてくれるといいんだけどなあ。

ところで、深緑と明日羽はキャラ被ってたんじゃね? 唯一二人だけの人間のヒロインなのにw

森田季節作品感想