グロリアスハーツ2 (富士見ファンタジア文庫)

【グロリアスハーツ 2】 淡路帆希/文倉十 富士見ファンタジア文庫

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シローフォノ軍の研究機関『クレイドル』にて生まれた、怪異の力を持つ人型の生命兵器―『贋人』。贋人として生まれた少女・ユズカと、ユズカを人間にしたいと願う少年・アルトゥールは、贋人の秘密を知る研究者・ディニタ・イングリスの手がかりを探して、ジャッロ・コリーナ市へ向かう。街へ入ると早々に宅配の仕事を頼まれるのだが、その届け先は誰もいない廃工場地区だった。しかも、そこで二人を待ち受けていた人物は…!大切な人を失い、守りたいという強い願いが、少年の中に眠る七つの龍を呼び起こす!本格ファンタジー。
なーぜーだーーー!! 1巻でこれは良作始まったーー! と思ったら、二巻で気がついたら完結してしまったんですが。何故!? 主人公の中に眠る7つの龍の力、結局全部どころか半分も覚醒しないまま終わっちゃったよ。他の四頭の龍の名前がなんだったのか、私気になります!!
残念ながら、目をキラキラさせながら「私、気になります!」とはいえませんね。きっと目は淀んでるに違いない、どよ〜〜ん。
えーー、三冊も待たずに一巻の段階で打ち切り決定って、そこまで売れなかったの? 確かに地味目ではあったものの、むしろ前作と比べてもイロイロとエンタメ要素を悪くない形で吹き込んで、良い感じになってたと思うんだけどなあ。それでいて、大切な幼馴染を失って傷心を抱えた二人の少年少女が、互いに支えあい身を寄せ合って生きていく、というシチュエーションがロマンティックで、すっごく素敵だったんだけどなあ。
と、未練がましくしていても、終わってしまったのは仕方ない。作者も苦渋のことだったでしょう。にも関わらず、上手く途中の展開を繰り抜いて一足飛びに結末にソフトランディングを決めたのは見事な話のたたみ方でした。
謎の情報屋だったミヌーがとっとと正体を表したり、探し人だったディニタがあっさり見つかり、というか向こうからコンタクトを取ってきたり、と確かに急ぎで話をまとめてきた、という感もあるはあるんですけどね。それでも、無理やり収拾をつけたというような乱暴さもなく、ディニタの一途な思いとアルのユズカを思う愛情の方向が上手く重なって、実は寂しがり屋だったミヌーとユズカの友情も相俟って、皆が一つの目的に手を取り合って協力し、奪われていた絆を取り戻していく話の流れは、非常に綺麗なものでした。
これまで兄妹同然に過ごしてきたアルとユズカが、お互い意識しまくる甘酸っぱいくも、幼馴染の喪失を挟むことによる切なさがしっとりと二人の間を取り巻く、情感たっぷりの恋の芽生え描写はもっと堪能したかったんですけどねえ。それでも、孤独な生き方をしてきたミヌーとユズカが心を通わせて友達同士になっていく様子を、限られた容量のなかでしっかり描いてくれたのは特に好印象。こういうのを蔑ろにしない丁寧さは、ほんと好きだなあ。
贋人組織の暗躍など、結局そのままになってしまった設定なども散見され、面白くなりそうだっただけに返す返すも終わってしまったのは残念だったのですが、一先ずアルとユズカの旅路が哀しみから解き放たれて、良かった。次回作は、なんとかもうちょっと続いて欲しいものです、切実に。

一巻感想