俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる5 「別冊パチレモン付き」限定版 (GA文庫)

【俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 5 「別冊パチレモン付き」限定版】 裕時悠示/るろお GA文庫

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「えーくん、愛してる」
「いいこと、鋭太。私はあなたの彼女なのよ」
「わたしもギュッとして?」
「ねえねえタッくん! あの女とはいつ別れてくれるの?」
 右に幼なじみ。左に彼女。前に元カノ。後ろに婚約者。この世には神も仏もいないのだろうか?

 千和からの思わぬ告白で、終わりを迎えた夏合宿。修羅場の鼓動が聞こえる中、二学期に向けて牙を研ぐ少女たちの物語。
 千和と母校の中学校へ!
 愛衣を巡って風紀委員と対決!
 ヒメとお泊まり!? 真涼と恋愛脳狩り!? 等を収録。
 裕時悠示×るろおが贈る、甘修羅らぶ×らぶコメディ第5弾!
あんぎゃーー、真涼さんが完全に壊れたーーー!!!
表向きは鋭太の彼女という揺るぎない立場を確保しているにも関わらず、最初にそれをニセモノ、フェイクだという前提で初めてしまったが故に、他の三人と違って本当の気持ちの持って行き場がなく一番逼塞してしまっていた彼女。これまでは、まだ最大のライバルだった千和が幼馴染としての立場にこだわり鋭太のトラウマを慮って、鋭太への気持ちを押さえ込んでいたから真涼も精神の均衡がとれていたものの、前回千和が敢然と幼馴染の立場を脱却し、堂々と鋭太への恋心を表明したことで、真涼一人が取り残されてしまう形になってしまった。それが、よほど真涼の精神に負担を生じさせているのだろう。
もにょっ、もにょっ、もにょーーー!!
く、クール! クールで知的な美人さんキャラが崩れてます、ヤバイくらいに崩れてますからそれーー!!
抑圧が過ぎると、こんなことになってしまうのか。もはや、ヤンデレの領域に片足突っ込んでクルクルスピンを決めているような状態じゃないか。誰か、なんとかしてあげて、と縋りたいところなのだけれど、現状これ本気で行き詰まってるんですよね。鋭太は、恋愛アンチの同志である真涼があれほど憎んでいた恋愛に染まってしまっているなんて、それこそ真涼を大事に思っているほど認められない事でしょうし、真涼当人もまた自分が本当に鋭太を好きになってしまっているなんて自分のこれまでの人生を否定する絶対に許してはいけない事実であると同時に、鋭太に対しても裏切りになってしまう。
でも好き。どうしようもなく好き。
だから「ニセモノ」で「フェイク」という建前の彼氏彼女の関係に、必死になってしがみつこうとしている。少なくとも、その関係を維持している間は、この鋭太を好きという気持ちはカノジョとしての演技だと言い訳できるから。
自家崩壊に周囲からの圧迫、その凄まじい抑圧に抑え切れない気持ちが制御を失って溢れだし、
もにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょもにょょょょょょょょょょょょょょょ


怖いわ!!

もうね、ここまで来ると本物なんかにならなくても、このままフェイクのまま添い遂げたっていいじゃない、と思えてくる。フェイクだろうと本物だろうと、そこにある気持ちはあるがままの想いでしかなく、それにどんな名前をつけようと本質が変わるわけじゃないのだから。だから、案外そのままフェイクのままだったとしても、問題はないんじゃなかろうか。と、思うのは間違いなんだろうね。もし、千和や他の鋭太に迫ってくる女の存在がなかったら、障害もなくなんとなくでそのままフェイクの恋人同士からフェイクの夫婦、フェイクの家族になっていつしかニセモノと本物の区別がつかなくなって、最初の始まるの間違いなんて意味をなくしていたかもしれない。
でも、きっと本物にならないと、これがほんものなんだと鋭太と真涼が素直に認められるようにならないと、真涼はずっと安心できないまま、不安を抱えたまま生きていくことになってしまうんだろう。鋭太もまた、後ろめたい気持ちを抱えたまま、全力でカノジョを抱きしめられないまま、行き着く所まで行ってしまうのだろう。
精算は、必要なのだ、やっぱり。

でも、真涼からしたらやっぱり怖いんだろうなあ。フェイクの関係が精算されるということは、カノジョという立場に守られていた自分が、千和たちと同じラインまで引きずり降ろされるということなのだから。いや、同じラインならまだいい。それ以上に、関係を偽っていたという負い目が、恋愛アンチという生き様が、千和たちよりも自分の場所を後退させてしまうだろうから。今、少しでも鋭太と離れていたら禁断症状を発症してしまうほどに「もにょもにょ欠乏症」に罹ってしまっている真涼にとって、そんなのは受け入れられるはずもなし。
ある意味、真涼は現状で行き詰ってしまっている、とも言える。
それに対して、正攻法で正面突破を図っているのが、千和だ。彼女は、鋭太の恋愛に対するトラウマを知りながら……知っているからこそ、真正面から愛を伝えることで、恋愛の素晴らしさを、素敵さを、楽しさを、幸せを、鋭太に伝えようとしている。真っ向から、鋭太の恋愛アンチを解消させようとしてるんですね。
でも、これも考えてみたら鋭太の態度が軟化したからなんですよね。もし、以前のままの鋭太なら、こんな正攻法には拒否反応を示していたんじゃないだろうか。
だから、決して千和は出遅れたわけじゃなく、機を見るに敏と言っていいくらい、絶妙のタイミングで待機モードから攻勢に移った、と思ってもいいとは思うんだけれど……いや、やっぱり多少出遅れた感は否めないか。鋭太の気持ちに、まず間違いなく真涼への想い、というのは生まれてしまっているからなあ。
というかさ、ややこしい要素を排して極々シンプルに、それぞれの気持ちを浮き彫りにしたら……鋭太が好きなのは真涼だと思ってます、私は。
私の見る限り、彼の言動の端々に、真涼と本当の彼氏彼女だったら、という願望が見え隠れしてるんですよね。双方に好きなんて気持ちが無い、というのを前提にしながら、もし本当だったとしたら、というIFに幾度も思いを馳せている。

何れにしても、真涼も鋭太も二進も三進も行かないところまで来ちゃってるんですよね。そうして、千和がそこに決定的な亀裂を入れてしまった。あとは、破綻するのみ。
そして、その最後の一刺しが、満を持して本巻の最後に待っていたわけだ。

次こそ、きっと大荒れである。とても、次巻じゃ決着つかないだろうな、これ。

裕時悠示作品感想