ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編(3) (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 3】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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アメリカ海兵隊とともに、レイクサイドヒル市に生存する一万五千人の救出に向かった5121小隊。しかし市まで二十キロ地点に差しかかったところで、幻獣の執拗な波状攻撃を受け、進撃は頓挫する。救出作戦は大きな見直しを余儀なくされようとしていた。この間、主戦線でアメリカ軍は苦戦し、幻獣はボストンの街にじりじりと迫っていた。敵の物量の前についにアメリカも敗北することになるのか―そのとき、奇妙なことに突如幻獣が退却をはじめた。歓喜するアメリカ軍。しかし、では退却する数万を超える幻獣の群れは、無傷のままいったいどこへ向かおうとしているのか!?
日本ではこうだったから、日本兵ならそんな文句は言わないのに、じゃ通じないのがアウェイの困難。郷に入りては郷に従え、というのとは少し違うのだろうけれど、メンタリティから考え方まで隅から隅まで違うのが文化の違いというもの。それに、常識の一方的な押し付けはどうしても反発を生む。過去には、巨人ではこうだったあーだった、とばかり言い募って総スカンを食らってしまった野球監督などもいらっしゃるようですし、こういうケースではどうしても、上の立場にいるものがうまくコントロールしなきゃ始まらないんですよね。
とは言え、今回にいたってはなし崩しで戦力に組み込まれた上に、準備期間も殆ど無く戦争状態に突入している。本来ならオブザーバーにしろ何にしろ、ある種の連絡将校が付き添うことで両軍の間を取り持ち、実際戦場に立つまでにコミュニケーションを取っておくべきだったんだろうけれど、何しろ時間も何もなかったからなあ。
一緒に戦えば即座に戦友、なんていうのも言わば幻想。特に現状は、幻獣の侵攻がはじまったばかりでアメリカ軍自体が戦争それ自体に実感を得ていない状態。これで長く苦戦が続き、兵士一人ひとりが戦争に辛酸を舐めた状況だったなら、事態を一気に切り拓くような勇戦を見せる友軍の話題に期待や友誼を感じるかもしれないけれど、まだ始まったばかりのこの状況だと、5121小隊というのはやっぱり外国の異端なんですよね。幾ら、司令部の士官クラスが正当に評価してくれていても、末端部分からすると得体のしれない外国の部隊なんですよ、認識としては。実際、現代戦ともなると実態に肩を並べて戦う、という実感はなかなか得られないものですし。
そんな意味で、米国内においての一番の理解者で協力者である海兵隊ですら、こんな疎外感を感じさせてしまうのも致方なしなのかなあ、とやや鬱積を溜めながらも思うわけで。

外国で戦うのって、大変ですよね。

そんな微妙な孤立状態の中で、幻獣軍は明確に5121小隊を狙い撃ちしはじめる。これは、人類の軍隊の戦闘原則などに縛られない、幻獣特有の自由さだよなあ。同時に、5121小隊の危険性を、幻獣知性体の傲慢さに目を曇らせずに真っ直ぐに見ぬいた正当な評価とも言える。謀略によらず、真っ向から正面勢力をかき集めて圧倒的な戦力で押しつぶそうという戦略は、正しすぎて眩暈がしそうだ。幻獣共生派の使い方といい、今アメリカの背後で蠢動している幻獣の王は、これまでにない強敵と言えるでしょう。権力にしろ戦力にしろ、使い方というのを正しく理解している。これは手強いぞ。


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