クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【クロス・エデン 1.魔法王国ミシュリーヌ編(前)】 吉野匠/村上ゆいち このライトノベルがすごい! 文庫

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恋した相手は、オンラインRPGのキャラクター!?
ゲーム世界と現実が交錯し、少年の運命が動き出す!

高性能AIを搭載し、ゲーム中のキャラクターと自然な会話ができると評判の、オンラインRPG『クロスエデン』。平凡な高校生である片山浩介も、このゲームにハマったひとりだった。ある時、浩介は、イベントで出会った囚われの姫君・セシルに恋をする。ゲームのキャラとはいえ姫を見捨てられない浩介は、救出作戦を立てるが……。シリーズ累計100万部突破『レイン』の吉野匠が贈る現代ファンタジー。1、2巻2ヵ月連続刊行でシリーズ始動!
これはまた、随分と錯綜してるな。最初はゲーム世界から現実世界にゲームキャラクターが受肉してきた、という展開かと思ったら、どうも単純にそういう事ではないらしく? 
……ああ、そう言えば同じ作者の【三千世界の星空】、あれの設定を思い出すと色々と合致する面が出てくる。なるほどなあ、現実世界の人間がゲームの中にアバターを作って入り込む、というのは「チェンジリング」を引き起こすには持って来いの設定じゃないか。オンラインRPG『クロスエデン』の世界が、実は現実側から構築されたオンラインゲームワールドではなく、コチラからのアプローチはあったとしても、その根本が異世界側から構築されたシミュレーションワールドだとしたら……異世界と現実世界を繋ぐ媒介として機能していると考えればわかりやすい。しかも、異世界観移動が物質的な肉体を維持したままでは難しい、と捉えると……。
まだまだ情報が乏しいし、わかりにくい描写も多いので、何とも断言しにくいのだけれど、この錯綜した侵食現象はなかなかワクワクさせてくれる。まだ話の方向性自体が定まっていないというか、ちゃんと見せてくれていないので話自体はまだおもしろい面白くないと言えない段階なのだけれど。その中途半端さがわかっているからこそ、二巻を連続刊行としたのかな。
主人公は天才肌で変人である親友に比べて、見るからに凡庸で性格的にもどこにでもいる浮ついた高校生なのだけれど、過去のシュンとのエピソードや隣のひきこもり幼女の月緒とのやり取りを見て伝わってくるように、此処ぞという時に侠気を見せるイイ奴なんですよね。シュンがほんとに天才な分、自分を弁えているというか自意識過剰にもならず自分を過小評価する傾向もなくフラットに自分を捉えてるカンジがするんですよね。それでいて無茶もできて頑張れる、という熱い魂の持ち主。同時に、平凡な少年らしく肝が据わるまではビビリやすい、というところも親しみが持ちやすい。つまり、主人公としては標準以上の好漢なんじゃないかな。
大きく話が動き出すのは次回からのようなのでまだ様子見だけれど、今のところは掴みOK?