オレと彼女の絶対領域(パンドラボックス)5 (HJ文庫)

【オレと彼女の絶対領域(パンドラボックス) 5】 鷹山誠一/伍長 HJ文庫

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今度のヒロインは重度の“腐"幽霊!?
明日香先輩の予知夢再発が落ち着いたのも束の間、今度は突然落ちてきた幽霊少女(?)に取り憑かれてしまったオレ。「現世」での名を尼塚空という彼女は、売れっ子BL作家で、オレは理想のキャラに瓜ふたつらしい!? サヤ姉や聡里からも警戒されるし、身の危険を感じたオレは彼女を引き離すべく、その<超能力>の原因を探そうとするが……!?
主人公のトラブル誘引体質は、受動的と見せかけて実はかなり恣意の入った能動だったことが判明。いや、これ凄すぎだろう。カーくん当人の意志も何も関係なしじゃないか。いや、それどころじゃなく、今回の一件、空の生霊がカーくんに取り付いてしまって離れられなくなったという事件そのものが、先の事件からサヤ姉が抱えてしまっていた案件を解決する要因になるなんて、何の根拠もないんですよね。結果としてサヤ姉の悩みを発覚させ、それを解決する引き金となったというだけで、論理的に見てもサヤ姉の悩みとは何の関係もなかったと言っていい。
でも、カーくんを軸に動いている「ナニカ」は、空をカーくんに取り憑かせれば、サヤ姉が救われるとわかっていたことになる。わかっていた、なんて個の意志がある存在、否そもそも存在ですら無いのだろう。あくまでカーくんの望む形を無意識に、知覚認識していない段階から因果の海より掬い上げる願望器。
サヤ姉の能力がラーニングなどではなく、アカシックレコードの検索能力と知った段階で、これが頭ひとつ2つ抜けた他の追随を許さないとんでもない能力だ、と唖然としたものだけれど、場合によってはカーくんのこれ、サヤ姉の能力すらも下位に置いてしまうものなのかもしれない。それこそ、運命とか因果律を勝手に設定して弄ってしまうような力なわけだし。
もっともこれについてカーくんを含め、彼の回りにいる女性陣もサヤ姉含めて誰も気づいていないのだし、身も蓋もない言い方をしてしまうと、彼の能力というのは「主人公力」という括りで縛れるものなのかもしれない。その意味では、有り触れた能力なのか。ただ、ここまで恣意的で露骨で、それでいて自動的、というのも珍しいし、望む結果をもたらす邪魔となれば当の「主人公」すら「主人公」としての役割から引きずり下ろしてしまうという点を見ても、主人公を主人公として成り立たせる力じゃなくあくまで願望機としての方向に重点が置かれているようだけれど。
実際、この一件では下手を打てば巻き込まれた空がそのまま命を失う可能性も少なくなかっただけに、結果として結構えげつない橋を渡ってるんですよね。それこそ、マッチポンプと言われても仕方ないくらいに。
そんな人間の思惑や意志の遥か上位に位置するこの能力の、じゃあ弱点って一体なんなんだ? ピーピングトムがえらく自信満々に宣っているんだが。

さて、今回のお話は終わってみると新ヒロイン登場、と見せかけてサヤ姉救済のお話でした。さらに重ねるなら、サヤ姉と明日香先輩、そして聡里のヒロイン三人娘の絆がさらに強固に結ばれるお話でもあったんですよね。今回、主人公のカーくんが完全に役立たずの傍観者に回ってしまった分、余計に三人娘の仲が深まったように思える。前回、サヤ姉が明日香先輩を引っ張り起こしたように、今度は逆にサヤ姉を明日香先輩が叱咤激励して立ち直らせたわけですしね。聡里も、今回はサヤ姉最優先でしたし。
いい意味で、こりゃあ誰も抜け駆けできない関係になってきたなあ。その分、カーくんの方にしわ寄せがいきそうです、よし爆発しろ♪

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