棺姫のチャイカV (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 5】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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「…あれは―」美しい銀の髪と、紫の瞳を持つ『棺担ぐ姫君』チャイカ・トラバント。彼女が指をさす方角に浮かぶ、「塔」のような建造物。かつて『禁断皇帝』との大戦争で、最強無敵と呼ばれた魔法兵器。その名は―「航天要塞!」『禁断皇帝』の遺体を持つガヴァーニ公爵は、その天穹高く舞う城砦に住まうという。チャイカの望みを叶えるには、何人も侵入できない、絶死の要塞を攻略せねばならない。しかし、公爵を狙うのは、チャイカとトールたちだけではなかった!?天空を舞台に、今、三つ巴の激闘がはじまる。
フレドリカはあれだよね。なまじ強すぎる分、平気で攻撃食らっちゃうんだ。鎧装竜という素体に頼りきっている、というわけじゃなくて、戦闘に関する考え方というか概念が人間と根本から異なってるところがあるんですよね。トールたちと一緒に行動しているものの、仲間というわけじゃないからはぐれても気にしないし。とにかく、不意打ちだろうが先制攻撃だろうが、あっさりポコポコ食らってくれるので、この子は強いのは間違いないんだけれど、とても頼りにしちゃいけないんだろうというのがよく分かる。戦力に数えていると痛い目見そうだ。自力でなんとかせにゃなあ、と思わせるあたり、作中でも頭一つか二つは抜けて強いキャラクターが味方側にいるにも関わらず、うまく戦力バランスが崩れないように配慮してるんだなあ、と感心する。さすがはベテラン作家というところか、この辺りは。

さて……今回はよくよく注視してみると、もしかして初めてアカリが側に居らずチャイカとトールが二人きりの状況なんじゃないだろうか。少なくとも、これだけ長い時間アカリの茶々が入らず二人で行動しているターンはなかったはず。まあ殆どが航空要塞内部を駆け回っている展開に終始しているんだけれど、それでもアカリの素っ頓狂なボケが割って入ってこないと、結構トールとチャイカっていい雰囲気醸し出してるんですよね。特に色っぽいエピソードがあるわけじゃないんですが、むしろ特に二人きりを強調して両者の関係に踏み込むような意図的な展開を挟まない分、自然な二人きりの雰囲気がこれだけ良い感じになっているというのはちょっと意外な驚き。何だかんだと、主従抜きの仲間というか、男と女、という雰囲気を自然に出せるような関係になってたんだなあ。
こうなってくると、あれでアカリ、ちゃんとお邪魔虫として機能してたんだなあ、というのが判る。ふざけているようにしか見えないけれど、あれで真面目にチャイカと兄との仲に掣肘を加えていたつもりだったのかもしれない。
でも、あのアカリの素ボケとチャイカの天然合いの手にトールのツッコミ、というトリオ漫才が気に入っていただけに、アカリのいない状況はちょっと寂しかったり。早いところ合流して欲しいところだけれど。

今回の部隊は空中要塞編。なんともはや、これは趣味の領域だよなあ(苦笑
経済的な問題があるのはわかるけれど、こんなもん一地方領主に押し付けるなよw 戦後の微妙な時期にも関わらず、国の対応がえらい過激で迅速なのは驚いた。むしろ微妙な時期だからこそ、徹底的にという意識が働いたのか、上層部に何らかの動きが生じているのかが判別できないのはもどかしいところ。国側の騎士の兄さんのチームは、完全に現場の人間で上とか裏の思惑から切り離されてるから、動向が読めないんですよねえ。
フレデリカ自身も知らないようだけれど、鎧装竜を含む棄獣もガス皇帝にまつわる重要なキーワードになっているようだし、あの謎の女レイラの登場は、単に皇帝の遺体を集める第三勢力の登場というだけじゃない、大きなターニングポイントになりそう。

しかし、ホントフレデリカの能力は自在を通り越してフリーダムだよなあw まさか、中の人が居るとは。あれは真剣にビビったw

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