101番目の百物語7 (MF文庫J)

【101番目の百物語 7】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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一文字疾風、通称モンジは、ある日突然『百物語の主人公』になってしまった、ちょっと普通じゃない高校生。南の島から戻ったモンジを迎えたのは、街全体が霧に包まれた夜霞市だった。そして殺人鬼のロア『切り裂きジャック』により、仲間たちにも連絡がつかないまま、モンジはいきなり襲われてしまう。一之江とともになんとかロアを撃退したモンジだが、その前に現れたのは……!? 「モンジ君に知り合えて良かった。君に出会うことが、私の物語の終末だったとしても、後悔はないくらいだね」サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメ、疾走の第七弾!
うんうん、結論から言うと、キリカも一之江もおバカだねえ。本物の「主人公」は選ばれてなるもんなんかじゃないんだよ。「主人公」になったから、なんでも出来るようになったわけじゃない。主人公になったから、主人公として振る舞うようになったわけじゃない。
その人の行いが、志が、思いが、決意が、その物語に相応しかったからこそ、その者は主人公になったのだ。人が先で、主人公は後から付いてきた付属物なのだ。
だからこそ「主人公」の名と座と位を剥奪されたからと言って、その人の何が変わったと言えるだろう。何も変わらない、何も変わらない、何一つ変わらないのである。
図らずも、4巻の感想で触れた通りになってしまったなあ。四巻での理亜の献身に対して、モンジくんはそりゃもう必殺の殺し文句で一蓮托生の雁字搦めに妹ちゃんを絡めとってしまったのだけれど、そんなモンジくんのスタンスに対して、一之江だったらば、キリカだったらば、こういう反応をするんだろうなあ……なんてのを想像を巡らせて触れていたんですが、二人とも殆どその通りそのまんまの行動をとっちゃっててちょっと我ながらびっくり。
それだけ二人のキャラクターが一貫していた、というのもあるんだろうけれど、そんな感想を書いているわりに一之江とキリカがあんな行動に打って出るとは思ってなくて、意表を突かれたんですよね。それだけ、二人ともアンゴルモアの大王に対して脅威を感じていたのか。モンジくんがいつもの通りうひゃうひゃとおちゃらけていて、みんなとひたすらイチャイチャラブラブしまくっているものだから危機感とか深刻さというのが全く伝わって来なかったので油断していたけれど、キリカと一之江があれほどの決断を下してしまうほど事態は切迫していたということなんだろうか。あれって、墜落寸前の飛行機から、残り最後の一つのパラシュートを騙してつけさせて外に蹴りだされたようなもんだもんなあ。この比喩に照らし合わせて言うなレバ、モンジくんはこれから飛行機までどうにか舞い戻って、その上でもうどうにもならない飛行機を建てなおさないといけないわけだけれど……無理ゲー?

というわけで、これまで何度も何度も繰り返し繰り返し立てられていたキリカ裏切りフラグの成就回。それはつまり、オールナイトでキリカフィーバー、ということでもあり、これまでにもましてキリカさんが甘えてくるのなんの。いつもならちょっともったいぶったり小悪魔ぶって翻弄したり、と余裕を持って遊んでいる風情だったのが、今回に限ってはもう健気なくらいに一生懸命で一途にひたむきに想いをぶつけてくるのである。余裕なんかどこにもない。魔女だけあって裏も表もある女だけれど、そんな女が裏も表も総動員して身も心もなげうってくるのだ。殆ど二倍の圧力である。元々、バッチコーイが心情のモンジくんが耐えきれるはずもなく、そもそも耐える素振りも全然なく、凄まじく甘い空間が満ち満ちることに。
むしろこれ、抱いてあげないほうがかわいそうなくらいでしょうw
モンジくんの最大の欠点は、男は黙って即行動、が出来ないところだと真剣に思う。相手の軽口やごまかしに一々律儀に軽いテンションで応じちゃうんですよね。もういいから黙って俺に任せろ、という無理矢理の強引さが至極足りない。まず口で納得させようとしちゃうから、ちゃんと言う事を聞いてくれる理亜や、すぐに騙される幼女とか、モンジくんに言い負かされたがってる節のある娘たち、つまりチョロい娘らには相手にはそれでいいんだろうけれど、魔女や人の言うことを聞いてくれない娘には心は鷲掴みに出来ても、此処ぞという時にスルリと抜けられてしまったということか。
完全キリカ回かと思いましたけれど、最後の最後で一之江も持ってったなあ。このヒロインさんてば、いつもいちばん美味しいところだけつまみ食いするみたいに持ってくよね。狙っている節があるのが恐ろしいヒロインである。労力は最低限に、出番となったら最大限にw

さて、物語も佳境も佳境。クライマックスへのターニング。舞台上から蹴り落とされた主人公は、果たして再び袖から舞台に這い上がれるか。其の行く先は、本当にガチハーレムなのか。そろそろ本格的な精神的肉体的接触はしないのか!? 次回に乞うご期待。

シリーズ感想