グッドナイト×レイヴン (このライトノベルがすごい! 文庫)

【グッドナイト×レイヴン】 深沢仁/serori このライトノベルがすごい! 文庫

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「断る権利なんて、お前にはない」――怪しい男・ワタリヤにはめられ、謎のバイトを始めることになった鈴人。急造チームのメンバーは、女装癖のある美少年・遊、スピード狂の無口美少女・倉日。一回7万円の仕事内容は、あるアイテムを盗んでくること!訳がわからないまま仕事を続ける鈴人だったが、ある日トラブルが発生し……。第2回『このラノ』大賞優秀賞作家が贈る、放課後クライムノベル、ここに始動!
宝島社さまより献本いただきました。
根本的に、話の趣旨というものがどこにも見当たらない。読んでいても、つまりこの作品はこういうものを書きたかった、というのがついに最後まで出てこなかったんですよね。キャラクターを掘り下げるわけでも、物語を深めていくわけでも、少年少女の空虚な在り方を突き詰めていくわけでもなく、薄らぼんやりと流されるまま表層をタラタラと伝い流れていくだけで、盛り上がる部分も一切なし。デビュー作はまだシャンとした物語の芯があっただけに、このちゃんとした物語にもなっていない有様にはため息しか出てこなかった。
主人公の中身も何もない空虚で無気力な、今すぐこの世から消えてしまっても当人含めて誰も何も気にせず影響もないような在り方は、ホントぶん殴ってやりたいような鬱陶しさで、そういうキャラクター自体は雰囲気も含めてイイと思うんですよね。この子自体は、非常に動かし甲斐のあるキャラだと思う。それに、作品全体に漂う退廃的で鬱々と重たい裏路地にうずくまっているような空気感、雰囲気はとても良く行間からにじみ出てると思います。
でも、話の動かし方、見せ方まで無気力に停滞してしまっては何にもならない。残念ながら、これでは雰囲気は作ることはできても、物語を作る力が無いのでは、と首を傾げるほか無い。厳しい言い方だろうけど。

深沢仁作品感想