まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (4) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 4】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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紅の学士として活動する魔王の活躍により、自立の道を歩み始めた南部諸王国。だが、それを快く思わない中央大陸と聖教会は、紅の学士を異端者として弾劾して捕らえようとするのだった――。
この四巻の見所と言えば、この物語を通しても最大級の名シーンとも呼んでいいでしょうメイド姉の「人間宣言」、或いは「人権宣言」。
ここをどう描くかが、この作品の漫画化の一つの試金石だとも捉えていたのですが……いやあ、すごかった。言葉が、意志が、思想が、自由の心が、メイド姉の語りかけることで民草に伝わり、沁み通っていく描写がまた素晴らしいんだ。このシーン、メイド姉は元々こんな事を語るつもりで居たわけではなく、なんて言うべきなんだろう、常々彼女が劣等感のように心の内側に溜め込んでいたものが、この瞬間紐解くように答えを得たんですね。そして、その思想は自分一人で結論として抱え込んで満足するべきものではなく、自分と同じような境遇の人達と共有スべきものなのだと察した。使命、運命、或いはそんな形どおりの言葉で括るべきではない、「来るべきその時」だったのでしょう。そんな、自分の内側から溢れでてくるものを、決然と言葉となして皆に伝えようとするメイド姉の姿が余すところ無く描かれていて、満足なんてものじゃありませんでした。実に素晴らしい。
このシーンは、この作品の中でも大きなターニングポイントであり、本当の意味で「誰も見たことのない丘の向こう」を意識した瞬間でもありました。
こっからなんですよねー、本当に。
固定観念、既成概念、そうした凝り固まったこれまでの枠組みから、次々と皆が自由を得て飛び出していく。冬寂王や女騎士が率いる冬の国、南部連合、湖畔修道会、三人の馬鹿弟子たち、そして青年商人に火竜公主。魔王と勇者だけではなく、一人ひとりが飛躍をはじめ、同時に魔王と勇者を中心とするのではない、一人ひとりが中心となって他者と繋がり、世界が自由に広がっていく感覚。
いずれより大きな障害が再び立ちふさがるのですが、それまではそんな自由の飛躍と拡大を堪能してください。
このシリーズは、途中で終わらずに本気で最後まで走り抜けてほしいなあ。それだけ、この石田さんに描いて欲しいシーンが一杯ありますから。

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