クロス・エデン2 魔法王国ミシュリーヌ編(後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【クロス・エデン 2.魔法王国ミシュリーヌ編(後)】 吉野匠/村上ゆいち このライトノベルがすごい! 文庫

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リアルワールドに魔法が飛び交い、剣の音が響く。オンラインRPG『クロスエデン』の世界が、現実を侵食し始めたのだ。野望を抱く魔導師・バルドールに命を狙われながら、浩介と仲間たちは少しずつ真相に近づいていく。王女セシルの運命は?そして浩介に秘められた力とは…。実力派作家・吉野匠が贈るサイバーファンタジーの新シリーズ。第一幕・魔法王国ミシュリーヌ編、ここに完結。

うーん、前半の盛り上がりに比べて、後半は何故か一気にスケールからストーリーからキャラの関係から萎んでしまって、なんともショボショボとした空気に。
まあ色々と理由はあるのだと思うけれど、個人的に一番なんだかなあ、と思ったのが主人公の背景ですかね。自分としては前半で感じたこの子の魅力は天才や優秀な連中にコンプレックスを抱きながらも、何の力もないなりに侠気を失わずに前向きに頑張れるヤツだったからなんですよね。何の裏付けも保証もない徒手空拳で、ビビって腰引けてそれでも逃げず、足掻いて自分の成すべきだと思ったことをやれるやつ。そして、シュンやヴェルナーといった実力者に、自分の大切なものを預ける「勇気」。なんでも自分が自分が、じゃなくてね、出来ないことを受け止めて、それを心から信じたヤツに託すのも勇気だと思うんですよ。そういう類の勇気も持っているヤツだと思ってたんですよね。自分は、そういうのを決してかっこ悪いとは思わない。
なんだけどなー。
なんか、浩介の背景が判り彼の前世の記憶が戻ったのと同時に、これまでの彼のがんばりとか勇気みたいなものが、全部陳腐に思えてしまったのですよ。所詮、それらも「特別」によって保証されていただけのものだったのか、と。
威厳も何もあったもんじゃない、序盤のプロローグで倒されるのが関の山、みたいな超小物の悪役だったバルドールにも、その貧相な有様にガッカリさせられましたけれど、そんな相手にすら過去の箔がないと対抗できなかったこの主人公は、せいぜいお似合いでしたよ、と言いたくなるくらい。
そして、そんな「覚醒した主人公」を崇め奉るヒロインや他のキャラたち。ごめん、ちょっとこういうの無理。受け付けんですわ。それに、舞台は世知辛い現代の隅っこで、やってることはちまちまとした小競り合い。
自分としては前半の盛り上がりに期待したんですが、正直がっかりでした。ざんねん。

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