機巧少女は傷つかない9 Facing

【機巧少女は傷つかない 9.Facing "Star Gazer"】 海冬レイジ/るろお MF文庫J

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機巧魔術――それは魔術回路を内蔵する自動人形と、人形使いにより用いられる魔術。《我欲の聖塔》内での戦いも、いよいよクライマックスを迎えていた。最上階で相対するシャルとオルガ――すなわち、シグムント対トール。ぶつかり合う魔剣と魔剣。だが、その結末はあまりに無慈悲なものだった。トールの放った閃光により、心臓を破壊されてしまうシグムント。「ずっと一緒にいてくれて、ありがと……っ」「さらばだ、シャル」そして、シグムントは最期にひとつの卵を遺して消えた。一方で雷真は、夜会の帰りにぼろぼろの男性を保護する。〈結社〉に追われる彼は、シャルとアンリの父親、エドガー元伯爵で……!? シンフォニック学園バトルアクション第9弾!
これ、色々と粗筋でバラしすぎてないか? ある意味、シグムントが破壊されてしまうという展開は重要ではあっても伏せて勿体ぶるような要素ではない、とも言えるのだけれど、そこはもうちょっと勿体ぶって本編読んで初めて知る仕様にしていた方が盛り上がりとしては確かなんじゃないだろうかと思わないでもない。
さて、シャルロットさんというと、夜々が余りにも色物過ぎてメインヒロインとしてはちょっと(笑)という、冒頭からの流れ故にか、相対的にメインヒロインの座を嘱望されていた方なのですが、その割に二巻の表紙をフレイに掻っ攫われて、何とか三巻で表紙枠を確保したもののむしろ話のメインは妹のアンリに持っていかれ、その後もラウンズという強者のわりに、戦法がいつも強引で単純なパワーキャラという微妙にこう、潰しが利かない性能もあってか役回りもどっちかというと大雑把な扱いを受け、性格も結構パワーキャラなせいか突っ走っていったまま帰ってこないのでなかなか本筋に噛めない、という……なんか羅列しているとおしとやかになりましょう、取り敢えず立ち止まって深呼吸しましょう、と助言したくなるほど残念な子だな、シャルて。
まあそんな感じで能力的にも立ち位置的にも大味で、相棒枠は何気にロキに完全に持っていかれ、と自業自得な嫌いもある不遇に苛まれていたシャルが、ようやっと焦点の当たる展開に。二桁大台に至ろうってときに、ようやく成長パート、というのはメインヒロイン枠としてはどうなんだと思いつつもこの機会を逃すと本気でアレなので頑張るシャルを、うん、なんかこういうどうしようもないところのある粗忽な子って、応援したくなるよね!!
……どうも基本的にこの作品のヒロイン衆は概ね粗忽者な気もするけれど。グリゼルダ御大とかもそうだしな! 個人的に一番成熟しつつ複雑にこじれた女性の心根を見せているのは、何気にキンバリー先生な気がするんだよな。相手は雷真じゃないのが笑えるところだけれどw あのクルーエルとの過去が絡まった複雑な大人の絡みがいいんですよ、うん。
じゃあ一方で雷真サイドで一番ヒロインしているのは誰かというと……此処に来ての伏兵ながら、日輪が新規参入としては思いの外押しが決まってるんですよね。基本的に結ばれないポディションだとは思うんですけれど、意外なほどいい位置をこの9巻でも確保しているのが侮れない。
まあ、個人的な好みの押し押しは、私はグリゼルダ師匠であり、謀士アリスなのですが。
その意味では、ヒロインキャラ的には好みで応援したくなるタイプでありながら、まあそんな応援は無駄だな、と苦笑一つで終わらせてしまいたくなるキャラだったシャルの、今回の変貌には正直驚きを隠せない。
あれ? この子メンタルが定まって落ち着くと、かなりスペック高くね?
いや、実際一皮むけたあとのシャルロットの変貌っぷり、異様に頼り甲斐のある雰囲気は見違えるようでしたからね。あれなら、本気でメインヒロインとしてもやってけるんじゃないでしょうか。これまでの頼り甲斐の無さが異様だったのかもしれませんけれど!! 多分、それだけシャルってシグムントに依存してたんだろうなあ、というのがよく分かる。精神的にずっと庇護を受けていたようなものだったから、今回の別れは必然的に彼女に自立を要求したわけだ。精霊と向き合うというのも、その一環だし。実際、シグムントってこの作品の登場人物の中でも頭一つ抜けて大人というか、人格者だったもんなあ。惜しい人(?)を失ったものである……あるある。
それだけのお膳立てを受けて、でもなかなか一人で立ち上がるのは難しいし、やる気があってもずっと守られてきたものがどうしたら良いかなんてそう簡単に思いつかない。そこで、シャルを導いてくれたのが、なんとグリゼルダ。
そう考えるとグリゼルダ師匠って、師匠キャラとしてはチョロいわ粗忽だわ暴走するわ、と師匠としての重厚さや威厳という側面ではダメダメにもかかわらず、その実働に関しては雷真の時といいシャルの時といいそのへんの勿体つけるだけであんまり何にもしてくれない師匠キャラでは及びもつかない実際の成果をもたらしてくれてるんですよね。ここまで着実かつ確実にレベルアップさせてくれる師匠って、実はあんまり居ませんよ? その上、戦力としても完全に味方ですからね。裏で画策することもなく、これだけ素で全面的に味方してくれる師匠キャラもそうはいませんよ。その代わり、ガチでヒロイン枠要求してきてますがw

エドマンド王子の動きがかなり先鋭化して、ついにとんでもない事をやらかしてしまい、さらに学長サイドもそろそろ動きが見えてきそうな感じ。いい加減、裏の動きが波及と言う形ではなくハッキリと押し寄せてくる形になってきてもよさそうな頃合いだけれど、どうなんだろう。
あわせて、なにやら夜々に問題が持ち上がってるようだし。アリスも戻ってきたら、動き出てくるかな?

海冬レイジ作品感想