シンマと世界と嫁フラグ3 ~いつのまにやら両手に花です! ~ (HJ文庫)

【シンマと世界と嫁フラグ 3.いつのまにやら両手に花です!】 空埜一樹/にろ HJ文庫

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最強異能に目覚めてから、美少女ハーレム絶賛拡大中な高校生シンマ。そんな彼の嫁候補の一人であるミンクのもとへ、完璧美人な姉のレイラがやって来た。レイラはなかなかシンマを籠絡できないミンクに対し、任務続行を賭けての試験をすると宣言。不合格なら強制送還だと焦るミンクを助けるべく、シンマは彼女のポイント稼ぎに付き合うのだが―。
うわぁ、凄いなこの主人公、シンマくん。全然ブレない。揺れないんですよね。基本的に受け身で巻き込まれ型なんだけれど、泰然自若として動じないものだから巻き込まれている割には一切振り回されるような無様な真似を晒さないのです。信念や正義といった凝り固まったものを有していない分、自分なりの基準となる芯をしっかりと持ってるんですね。芯がしっかりしているから、言動がブレない。とは言え、その芯によりかかっていないので、変に意固地だったり頑固だったりするものでもない。特に、コトハの言には大きく影響されてますしね。コトハはコトハで変に堅物で浮世離れしたところがあるけれど、あれで結構柔軟な思考と基準の持ち主なので、状況に応じて自分本位ではなくちゃんと相手を慮って応用を利かす事もできる。冷静で客観的な意見は、シンマの考えをまとめる潤滑剤みたいな役割も果たしているので、この二人、かなり相性いいんだよなあ。
このお互いに良い影響を及ぼしあった上で非常に緊密で寄り添った関係性を醸し出しているから、コトハの正妻感が不動のモノになっているのでしょう。此処に来てコトハは、奔放で無邪気ながら複雑な背景を持つ「無」に対してお姉さん風を吹かせるようになって、なんというかキャラに幅を出してきたんですよね。同時に、無が妹キャラ、もしくはベッタリの娘さんキャラ的な立ち位置になったことで、コトハがその監督役、姉もしくは母親的な立ち振舞いを始めたことによって、家族的なフィールドが色濃く形成されだしてきたわけです。
ハッキリ言って、ここでミンクの主役回がなかったら、この娘、幼馴染のくせに本格的にハブにされかねなかったんですよね、立ち位置的に。だからタイミングが良かった、というよりもこのタイミングしかなかった、というべきなのかもしれません。ミンクの危機に対して、むしろアリスの方が活発に立ちまわってミンクがこの場所に居られるように奮闘していた、というのも結構大きなポイント。この手のハーレムモノというのは、実のところ主人公を頂点にした三角形よりも、女性同士の繋がりが強くなっていく網の目構成の方が物語としての幅を広げやすく鳴る傾向があるんですよね。もちろん、この手のパターンだと網の目になっても主人公が存在感を主張出来るだけの大きさ、というものが必要なんですけれど、シンマはその点まったく不足はありませんし。
ミンクとアリスがケンカ友達をさらに昇華させて、喧嘩する親友同士、というところまで関係を深めていったのはこの先、話を広げていく上でもアリス主役回におけるミンクをハジメとする周囲の動きに躍動感を持たすためにも充分以上の成果だったんじゃないかと。
コトハ正妻ポジが、ミンク回にもかかわらず小動もしなかった、というのはラブコメとしては苦笑モノなんだけれど、家族モノとしてみたら悪くはないと思うんですよね。
しかし、アリスは健気というか、出てくるとおつきの二人と一緒にトリオ漫才の芸人丸出しなのに、しゃべって動けば動くほど「良い子」という素の姿がにじみ出てきて、何とも微笑ましい限りである。
ミンクも、精神面のふにゃふにゃさを克服しこれで要らない子扱いを脱却してくれればいいのですけれど。
シンマが現状を仕方なく受け入れているのではなく、自ら望んで選んだ結果今がある以上、ミンクもちゃんとさえしてれば、変なスポットに入り込んで自滅する事もないでしょうから。まあ……自爆キャラっぽいところもあるしなあ、この娘は。

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