とある飛空士への誓約 1 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への誓約 1】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語!

四千もの島嶼が大瀑布を挟んで存在する「多島海」。
ハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦、三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。
その、「エリアドール飛空艇」に集ったのは――

河南士官学校三回生、坂上清顕(さかがみ・きよあき)。
河南士官学校三回生、ミオ・セイラ。
箕士官学校四回生、紫かぐら。
エアハント士官学校四回生、バルタザール・グリム。
エアハント士官学校三回生、ライナ・ベック。
エアハント士官学校三回生、イリア・クライシュミット。
エアハント士官学校二回生、セシル・ハウアー。

いずれも、その突出した才を認められた士官候補生たちだったが、「空の一族」の強襲を受け、名も知れぬ島への不時着を余儀なくされる。脱出のために協力する七人だったが――。
とある飛行士シリーズ第四弾。地図、地図をください!! またぞろ新しい国の名前が出てきて、若干混乱中。地理、どうなってるんだろう。とある飛空士シリーズのどっかの巻に地図があったような気もするんだけれど。
しかし、和風の国って一つだけじゃないんですね。帝政天ツ上に斎ノ国ときて、今度は秋津連邦ときたら何がどう違うんだろうか、と気になってくる。
冒頭から、この七人のうち五人が英雄として遇され、二人が裏切り者となることが明らかになっている。そして、同時にこの中には一人の亡国の姫と、ウラノスから潜入した秘密工作員が混じっている。お姫様についてはもう丸わかりもいいところなんだけれど(これがミスリードされてたらかなり驚く)、残る工作員が誰なのかがまだわからないんですよね。あからさまに怪しい人が一人居るんだけれど、この人はあまりにもあからさますぎて違うっぽいんですよね。本当の工作員なら、表面上の感情操作なんてお手の物でしょうしね。なので、かぐら先輩あたりが怪しいかなあ、と思って読んでいたのですが……ラスト近辺の誓約シーンを見ると、どうも違うっぽいんだよなあ。しかし、この工作員くんも何気にチョロいっぽいぞ(笑

しかし、此処に来て飛行艇モノかー。多分、飛行艇に乗るのはこの巻だけで、後は戦闘機に乗ることになるんだろうけれど……何気に航空機モノで一番迫真性があり、人間ドラマが展開されるのって、爆撃機とか飛行艇のように一つの飛行機に多数に人間が乗り込むものなんですよね。そして、この手の航空機というのは、戦闘機や対空砲火から一方的に攻撃を受ける脆弱な存在であると同時に、なまじ機が大型な為に攻撃を受けた際の人員の被害が均等でないために、パイロットや機長は空の上で多種多様な決断を迫られることになり、それが様々な人間ドラマを生むのです。
本作も、敵機の攻撃に対して無力な飛行艇でいかに危地、否や死地から逃れるか、という絶体絶命の緊迫した状況や、操縦席から機体の各部の様子を窺い知る事の出来ないために、銃撃を受ける度に仲間の生死が解らず機内無線に呼びかけるしか無いという切迫感、そして無茶なランディングを選択せざるを得なくなるという最後の最後の大関門。まさに空の群像劇の要素が一揃え揃っていて、この手の話が好きな人は垂涎なんじゃないでしょうか。
飛行艇のモデルは当然のようにあの傑作機である二式大艇。もうそれだけであたしゃあ嬉しいんですけどね。

でも、なんでこの人の作品は幼馴染が毎回貧乏くじを引くはめになるんだろうw
なんか、今回もミオが可哀想なことになりそうで、今から心折れそうです。取り付く島もなく、それどころか父親の仇敵の息子ということで、敵意の対象でしか無かった主人公に、あっさり転んで無表情の鉄面皮な無感情娘があたふたしはじめるのはあれですなあ……チョロすぎる!!

犬村小六作品感想