ベン・トー another Ripper's night (愛蔵版コミックス)

【ベン・トー another Ripper's night】 漫画:柴乃櫂人/原作:アサウラ 愛蔵版コミックス

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半額弁当を奪い合う戦場に雨の日にだけ現れ、他の狼たちに切り傷を残して誰にも見られずに弁当を奪って行く謎の『狼』、「ジャック・ザ・リッパー」。そんな噂を聞き、興味を持った著莪あやめはひとり調査をはじめる。不可視の狼の意外な正体とは…!? 一方、双子の狼「オルトロス」も「ジャック・ザ・リッパー」に目をつけ動き出していた――。コミックだけでしか読めない誇り高き『狼』たちの半額弁当争奪戦!!
半額弁当争奪戦【ベン・トー】のスピンオフストーリーを、原作のイラストレイターである柴乃櫂人さんが漫画として描いた第二弾。第一弾が、まだ漫画としてこなれていない部分が多々見受けられたのと比べても、この二巻はあれ?と思うような違和感が綺麗に消えていて、抜群にうまくなっていた。元々原作の挿絵も手がけているだけあって、描かれるキャラはそのままだし、長い付き合いでもあるのでキャラの特性も充分に掴んでいるため、ベン・トーの漫画化としては非常にスムーズかつ自然な出来栄えになっている。アニメはあれでちょっと独特の路線に進んでしまった分、この漫画の方はそれだけ原作に親しい映像化、とも言えるだろう。その上、この第二巻は元々アサウラさんが原作用のプロットとして仕上げた脚本を元にしているため、ボツネタとして日の目をみないはずだったお話を読める、ということで多重に美味しい話でございました。
主役は、本編では出ると鉄板ヒロイン過ぎて存在感がありすぎるために何気に出番を減らされている感のある著莪あやめ。そして新登場のゲストキャラは雨の日にだけ現れるという謎の切り裂き魔「ジャック・ザ・リッパー」。そこに、強者を付け狙うオルトロス姉妹も絡んできて、と狼という存在の孤高さと誇り高さ、そしてただひたすらに弁当を欲し、戦って勝ち取ったが故の、そして誰かと食べる美味しさをこれでもかと堪能できる実に【ベン・トー】らしいストーリー。著莪の何気に面倒見よくて好奇心旺盛なところや、最近シモネタ連発の変態さばかりが際立ってる沢桔梗のオルトロスらしい怖さと、オルトロス姉妹が常に求めていると同時に与えようとしているものが存分に描かれていて、実に満足でした。色んな二つ名持ちの狼が出てきてますけれど、そんな中でオルトロスは未だにキャラの濃さでも、過去のトラウマから現在に繋げ求めようとしている狼としての在り様も、頭ひとつ抜けて別格ですからね。ラスボスとしても頼もしい仲間としても火花散らすライバルとしても、どんな立場にでも立てるオールマイティさには瞠目するばかりです。あと、他の追随を許さない女子型変態性についてもw まあこれについては妹の鏡は完全に姉の煽りを食ってますが。妹は普通なのにw
ともあれ、一冊完結で大変おもしろかったです。ラスト近辺の著莪とジャックが同じ弁当の袋の持ち手と持ち手を持って、手をつなぐみたいにして歩いているシーンは出色でした。良かった良かった。