魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法少女育成計画 restart (前)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

Amazon

「魔法の国」から力を与えられ、日々人助けに勤しむ魔法少女たち。そんな彼女たちに、見知らぬ差出人から『魔法少女育成計画』という名前のゲームへの招待状が届く。先に進むたびに大きな自己犠牲を要求する、理不尽なゲームに囚われた十六人の魔法少女は、自分が生き残るために策を巡らせ始める……。話題のマジカルサスペンスバトル『魔法少女育成計画』に続編が登場! 新たな魔法少女たちの生き様に刮目せよ!
……あれ? なんだこの違和感は。前回の魔法少女たちの殺し合いバトルロイヤルから参加者の魔法少女たちも一新されて始まってしまったのは、オンラインRPGに似た仮想世界におけるデスゲーム。とは言え、前回のように強制的に人死が出る仕様ではなく(少なくとも最初は)、まず四人パーティーを組んでクエストを進めていき、他のパーティーとも協力が可能、というゲームをクリアするにもわざわざ殺しあう必要はない設定になっている。
にも関わらず、何者かによって思わぬ形で命を落としていく魔法少女たち。形としてはデスゲームになっているけれど、状況はクローズドサークルにおける殺人ミステリーと言ってもいいだろう。一体この中の誰が犯人なのか。その犯人は一体どうやって被害者の魔法少女を殺したのか。このデスゲームを主催している謎の魔法少女「マスター」とは一体どういう関わりがあるのか。魔法少女の中に探偵タイプが居るように、今回の話は誰が犯人で、一体どんな動機が、という展開なのだと思われる……今のところは。
でも、なんか変なんだよな。凄い違和感が残ってる。というのも、どうも最初から正気を逸している節があった侍型魔法少女の言動である。彼女はどうも「音楽家」……そう、前回の黒幕だった魔法少女の存在を執拗に追いかけている素振りがあったのである。しかし、このアカネなる侍の魔法少女は、前回のバトルロイヤルには存在していなかった。この侍魔法少女は、その怪しい言動で謎を残したまま早々に脱落してしまう。幾らなんでも早すぎる脱落だ。この少女の存在は、意味がわからない。
そして、もう一人……@娘々という中華風の魔法少女である。この子もまた、途中までは普通にしていたにも関わらず、仲間を失って精神的に不安定になった時に、突然意味不明の発言をしているのである。その内容を鑑みると、@娘々という魔法少女は彼女のものではないような記憶を思い出しているのである。そして、その記憶はやはり前回のバトルロイヤルに関わりがあるようなのだ。
……今回参加している十六人の魔法少女のうち、既に何人かは変身を解いた後の日常での正体とその様子を描写されている。この子たちは、恐らく描かれた通りの素性なのだろう。しかし、未だ変身を解いた後の姿が描かれていない面々については……非常に強い疑惑が募っている。この内の何人かは、果たして「今も生きている魔法少女」なのか?
何やら、目に見えている範囲でのこと以上に、このデスゲームには裏側が存在しているような気配がして止まないのだ。となると、この前回に比べて微妙にヌルいような設定のデスゲームも、現状のままでは進むまいて。
その意味では、非常に美味しい所で止められてしまったと言える。これは続きはよお、と叫ばざるを得ない。
……車椅子少女は、あれ実は結構イイ子、という流れですよね、うん。
あと、前回の生き残りであるスノーホワイトがかなり精力的に正義の味方として活躍しているようで、通常ならゲームに巻き込まれて根幹に辿りつけない今回の魔法少女たちの代わりに、裏のシステムを攻略してくれる役、と見るのがいいんだろうけれど……果たして、素直に正義の味方として機能してくれるのかどうか。

1巻感想