東京皇帝☆北条恋歌 10 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 10】 竹井10日/要河オルカ 角川スニーカー文庫

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皇泉学園に新たな転校生がやってくる。北条恋歌、八田雪絵、エニグマ二式の3人である。制服姿で年甲斐もなくはしゃぐ雪絵(22)にツッコミつつ、新世界の謎を解くべく彼女たちと共に“進化の塔”に挑む一斗だったが、その前に一人の人物が立ちはだかる!一斗の恋人になったゆかり子である。他の女の子と仲良くする一斗に拗ねるゆかり子と、それに対抗する恋歌と雪絵。さらにそこに雫や魔界から帰ってきたリセエールまで加わって。
他のシリーズは順調に出ているのに、これだけ随分と間が空いているなあ、とは思っていたのですが、絵師の要河オルカさんの方が体調不良だったのですか。結局、これまで書き溜めていた分のイラストで本巻を凌ぎ、次回以降は高階@聖人さんがイラストを担当することに。この人、オルカさんのお兄さんなんですね。そう言えば、そんな話を以前にしていたような。このシリーズの絵はオルカさんというイメージがくっきりと焼き付いているので、下手な人選では作品のイメージ自体崩れかねないところですけれど、高階@聖人さんなら大丈夫か、とちょっと安心。オルカさんの復帰が叶えば一番なんですけどね。
というわけで、久々にしてついに二桁到達の十巻。久々なんで、話がどこまで進んでいたか若干忘れていて読み始めはいささか戸惑ってしまった。だって、あれだけ過去と未来が錯綜して居る上に時系列上の事実関係があれこれ食い違って、どうなってんの? という状況でさらに現代もおかしなことになっていて、という風に複雑に入り組んだ状況でしたからね。
どうも、このへんなことになってしまっている現代も、平行世界じゃないことがお母さんことリセエールの帰還や、一斗と同じ世界の記憶を取り戻す人たちが若干名ながら現れだしている状況から確定しつつあり、だからこそこれどうなってんの? という謎が謎を呼ぶ展開になっており、その上でそんなことはまあさておいて、と言わんばかりにゆかり子さんがガチ恋人として大暴れであり、新興勢力にして圧倒的な存在感を示す雪絵の二大巨頭の台頭によってラブコメ戦線異常あり? 恋歌さまは刺身のツマです……いや、マジで。
ガチ恋人になってしまったゆかり子さんの恋人力たるや、その面倒くささも含めて直球直球、ひたすらど真ん中めがけて放り込むストレートで、一斗があれだけ絆されてるのを見るのは初めてだ。挙句、これは愛だ! なんて事まで言い出す始末。一斗卿、はために見てもそれかなりデレデレですよ? 元々、ゆかり子元帥は一歩引いた立場のくせに、実際問題一斗との相性は抜群なところを見せていたので、この展開はアリアリなんですが……その前に敢然と立ちふさがるのが八田雪絵(22)である。
一斗の態度が、雪絵相手だけ全然違う、違いすぎる!! ゆかり子相手の時とはまた違う、完全に心を許した接し方で、この少年が他の女性相手には絶対に見せたことのなかった姿なんですよね。一斗卿、キャラ違う、雪絵相手の時だけキャラ違う!
まだ、この一斗の態度だけなら凄い差が開いてる! と驚愕するだけだったのですが、愕然とし戦慄させられたのが……あのヤンデレ妹である夕鶴が。兄に近づく女は皆殺しと書いて鏖殺! と言わんばかりの狂乱バーサークだったあの夕鶴が、雪絵に対してだけ、兄との関係を認める素振りを見せた上に、兄をよろしく、とまで言ってのけたのである。
世界の法則が乱れる!!
いや、ありえんでしょう。夕鶴が許す女が現れるなんて。
恐ろしいまでの別格。そして、いつの間にかその他扱いの恋歌さまに、もはや空気な来珠。そして、雪絵(22)が生徒になってるのに、此方は先生として隔離されてしまってる美文さん。あばばば。
もうゆかり子さんか雪絵(22)でファイナルアンサーでいいですよ、いいですよ。
と言っている間に、まさかのお母さんことリセが参戦フラグを立てている始末。リセまで入ってきたら、ますます皇帝と宰相の立場がなくなっていくな♪

世界の謎と恋愛関係があっちもこっちも混迷を深めるさなか、行方不明になっていた四菜がもたらした情報は核心となるかもしれない、しかしさらに謎と混乱を深める展開に。
わりと引きが凶悪なので、次回はなるべく早く送り出して欲しいところである。

竹井10日作品感想