魔法少女育成計画 restart(後) (このライトノベルがすごい!文庫)

【魔法少女育成計画 restart(後)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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ひたすらに激化していく、囚われの魔法少女たちによる生き残りゲーム。残酷かつ一方的なルールの下で、少女たちは迷い、戦い、一人また一人と命を落としていく。警戒すべきは姿の見えぬ「マスター」か、それとも背後の仲間たちか。強力無比な魔法が互いに向けられる時、また一人新たな犠牲者が生まれる――。話題のマジカルサスペンスバトル、第二幕の完結編! 最後まで生き残る魔法少女は、いったい誰なのか!?
なるほどなあ、前回感じたこのゲーム全体に漂っていた違和感の正体はそういう事だったのか。

一応これ以上書くとネタバレになるので、収納しておこう。







音楽家が前回のバトルロイヤル以前にも同じ事をやっていた、という可能性については私も思い巡らしはしたんですが、もしそうだとしても、てっきりそのバトルロイヤルに参加して生き残った魔法少女は今回のデスゲームに参加している中の極一部、という認識だったんですよね。だから、音楽家の明確に出して、何らかの関わりを示していたアカネが真相に近づくヒントらしきものを殆ど残さず退場してしまった事に混乱をきたしてしまったのです。特別な情報を握っているはずのキャラが、それを明かすこと無く消えてしまっては謎を解く取っ掛かりがなくなってしまう。
そこに、@娘々が仲間を失ったショックで正気を逸したような様子になり、そこで自分の記憶にない記憶……バトルロイヤルに関わりがあると思しき記憶の存在を口走った末に、これまた衝撃的かついったい何がどうなったのかわからない出来事で、突如退場を強いられる事になってしまったのである。
その記憶を思い出している時の彼女の様子が、本当に危ういもので殆ど発狂しかかってるような有様だったんですよね。この時点で、ゲーム内と現実世界での様子の両方が描かれている魔法少女と、ゲーム内のみの描写だけで現実世界の様子は一切描かれていない魔法少女の二極化が進んでいて、私はここで@娘々を含めて現実世界の描写がない魔法少女は、実はもう生きていない亡霊の類なんじゃないだろうか、という疑いを抱いたのです。丁度、探偵型魔法少女のディチック・ベルが現実世界側で、ゲーム参加者の現実世界での素性を洗い出すという行動に出ていたものですから、彼女の探査から幾人かの魔法少女が既に現実では故人となっているという事実が判明する、という流れになるんじゃないか、と考えていたわけです。
まあ、全然その想像は違ったんですが。

まさか、このゲームに参加した魔法少女全員が、過去に音楽家が行った魔法少女同士の殺し合いの生き残りであり、勝者だったとは。
さすがにそれは想像だにしなかった。明らかに戦闘向きじゃない子も居たし、まともに他人と争うことも出来ない気弱な子も居ただけに、そういう分類が成り立つとは頭の片隅にも思い浮かべなかった。何より、魔法少女たちの内面描写でそれに類する情報が一切でなかったですからね。まさか、記憶が封鎖されていたとは。
なるほど、ならばアカネが初期段階であっさり情報を出さずに退場してしまった事に何の支障もなかったことも理解できる。彼女は特別な情報を握った存在などではなく、持っている情報の価値は他の十五人の魔法少女と何も変わらなかったわけだ。

正直、生き残ったメンバーはシャドウゲール以外の二人はこれも予想外だった。シャドウゲールは、まず生き残ると思ったんですよね。彼女に関しては、プフレの動向からしてこの娘が何としても生き残らせると考えられましたから。その代わり、プフレはまずシャドウゲールの為に犠牲になると思っていただけに、彼女が瀬戸際の綱渡りを見事に渡りきったのは素直に賞賛したい。殆ど、後半は彼女の独壇場でしたからね。いや、前半から常に生き残るための万難を排した策を練り続け、手繰り続けた彼女の手腕は全体を見ても頭ひとつ抜けていましたし。それだけに、後半彼女が唯一犯したミスはかなりヤバイミスだった。場合によっては全滅もあり得た、実際かなりの数の魔法少女が彼女の失敗によってできた隙によって殺されるはめになった訳だけれど、これはPKだったメルヴェルのやり方が狡猾極まってただけに如何ともし難い。その失敗を辛うじてカバーできたのは、ディチック・ベルの今際の際のファインプレーであり、ラピスとの友情だったわけだけれど……少なくともこの段階ではラピスはまず生き残ると思ってたんだよなあ。ラピスだけが音楽家と関わりない存在だったという事実も含めて、生存フラグが複数立っていたにも関わらず、メイヴェルと相打ちとはいえあんなに簡単に潰えてしまうとは。なまじ、実は最強キャラだったというキャラ属性が足を引っ張ったのか。
だから、速攻で退場すると思っていたクランテイルが生き残るなんて、完全に予想を外しましたよ。

終わってみると、音楽家が行った凄惨極まる殺し合いの生き残りでありながら、音楽家の信奉者だったメルヴィルを除いて殆どの子がイイ子だった、前作に登場した魔法少女たちと比しても善良で正義と友情をちゃんと持った魔法少女たちだった、というのは、音楽家の残した悪しき歪んだ魔法少女達を選別してやる、としていたこのゲームのマスターの主張を思うと何とも皮肉な話で、複雑な気分にさせられる。
オマケに、話の後味は最悪だ。
それでも、三人生き残ったことは素直に喜びたい。彼女たちが再び大きな心の傷を負いながら、大切な物を失わずに済んだことを喜びたい。プフレとシャドウゲールが死に別れず、彼女たちの複雑な友情が、より密接かつ直接的に深まった事を喜びたい。

しかし、結局ゲームが終わるまでにスノーホワイトは間に合わなかったんだ。もうちょっと早かったらのっこちゃんぐらいは間に合ったんじゃないかと思ってしまう。あうあう。

遠藤浅蜊作品感想