問題児たちが異世界から来るそうですよ?    ウロボロスの連盟旗 (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? ウロボロスの連盟旗】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

Amazon

箱庭の下層が“魔王連盟”に襲われたことで、煌焔の都に“階層支配者”が集結することに。魔王を倒すコミュニティ“ノーネーム”も抜擢されるが、黒ウサギが休暇のため、問題児3人はフリーダムに遊び始める!そんななか主従関係を結んだジンとペストは、旧知の仲である北の“階層支配者”サンドラに出会う。だが彼女は顔をフードで隠し、黒ウサギもかつて負けたギフトを持つ、“魔王連盟”のリンと殿下と行動を共にしており!?
この作品のド凄いところは、とにかく誰も彼もが未だに「底」を見せてない所なんである。本来ならラスボスクラスであろう蛟龍に白夜叉といったその実力や一端を垣間見ただけで気が遠くなるようなレベルのメンツが味方側につき、レティシアや黒ウサギといった慮外のちからの持ち主が同じコミュニティの居り、さらには耀や飛鳥といった子らは現状こそ未熟なものの、信じられない並外れたスピードで成長を続けている。ネックと思われたノーネームのボスであるジンなど、その成長の筆頭かもしれない。彼の頭脳の切れ味は、今や十六夜のお墨付きだ。ジャック・オ・ランタンやウィラ、フェイスレスと言った同盟枠の連中だって、底知れない途方も無い力の持ち主ばかりである。今は力を失っているとはいえ、ペストだってあの8000万の怨霊を率いる黒死病の魔王。他にも未だ名前ほどしか出番のない斉天大聖や牛魔王をハジメとする面々や、まだ名も出てきてないだろう実力者が山ほど存在しているわけだ。
で、対する魔王連盟ときたら、それに増し増すラスボス揃いと来ただらーー!!

なんちゅうかもう、こんなんワクワクしっぱなしでどうにかなりそうに決まってるじゃん!!

そして、それらを置いて未だ「底」を見せていない筆頭こそが、我ら逆廻十六夜その人なのである。一気に燎原を焼きつくすように燃え上がった圧倒的なまでの絶望感を、その登場だけで一瞬だけで吹き飛ばすその頼もしさ。
いやあ、あの登場シーンの燃え滾りようは、飛鳥や耀が、彼が来たもう大丈夫だ、と安心する場面で最高潮に達しましたよ。そんじょそこらのヒロインじゃないんですよ、飛鳥も耀も。二人共負けず嫌いの塊で自分が絶対になんとかしてやるというプライドの塊みたいな誇り高い少女たちなのです。誰かに頼ったり任せきりにするのを良しとしない自立し、貪欲で在り続ける少女たち。その彼女たちをしてこれだけの信頼を寄せる逆廻十六夜という少年の絶大な存在感。
彼の自制心、自分を律し切る心の強さと賢者の如き聡明さの持ち主でありながら、此処ぞという場面、なんて言うんだろう、読者がこうして欲しいと思う場面で期待を裏切らずに、その感情を素直に爆発させてくれるところは本当に格好良いんですよ。彼の存在は鬱憤というものを見事なくらいになぎ払ってくれる。カッコいいったらありゃしない。それでまだまだ底の知れない限界が見通せない実力はワクワク感を否応なく高鳴らせてくれるわけです。
次回はついに魔王連盟を向こうに回した大決戦。際限知らずの大盤振る舞いが待っていそうで、もう今からたまらんですよ。

一方で問題児三人組の裏側ではジンたち年少組も精力的に動き回っていて、特にかつて最凶最悪の敵として立ちはだかったペストが、ここにきていい味出してきたんですよね。その胸に秘めた世界を敵に回しても叶えたい野望……いや、優しい夢。それを、臣従を誓った今なおジンたちに明かせず、野望を叶える方策に控えめな胸を悩ます日々。そんな彼女に再び魔王連盟の誘いが訪れ、野望とジンたちへの親愛に揺れ動く心。
そんなペストにジンが見せる、自身の可能性……そして、ペストの野望を飲み込む大きな器。
冷ややかな暗室で交わされた幼い少年と元魔王の少女の掛け替えのない誓いは、仄かで胸温まる温度ながら、それでもこれもまた熱い炎そのものでした。
十六夜という大きな渦巻きが在るとはいえ、本作って登場人物の一人ひとりが主人公を担っている物語でもあるんですよね。箱庭という言葉とは裏腹の世界観のスケールの半端無さとともに、その莫大なスケールを縦横に活用するだけの登場人物たちの活発で意欲的な動向、群像劇と呼んでもいいような拡充こそが、私がこのシリーズを特別大好きな要因なんだわなあ。
ある意味前哨戦もいいところだったにも関わらず、まったくもって盛り上がりっぱなしのこのシリーズ。ほんと、永遠にテンション斜め上に突っ走り続けてて、色んな意味でたまらんわー! 次回はさらに天元突破しそうで、今から鼻血でそうです、興奮し過ぎ!

シリーズ感想