サイハテの聖衣2 (電撃文庫)

【サイハテの聖衣 2】 三雲岳斗/朱シオ 電撃文庫

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羽々姫、紗々羅、鳴々葉、音々―霊獣を封印した破魔の鎧、獣装戦闘服をまとい、賞金めあてに、謎の妖獣“禍憑妃”と戦い続ける極東自衛機構の傭兵たち。そんな彼女たちのもとにやってきた新入り隊員とは…。そしてある日、小隊長の紗々羅が突然「引退する」と言い出して…。本州最西端にある赤間関市を舞台に、民間軍事会社“極東自衛機構”所属の少女兵士たちの活躍と、コミカルな日々の生活を描いた新感覚・日常系戦場ファンタジー。
うおっ、日常系戦場ファンタジーと言いながらも、なんという緊迫感だ。崖っぷちのキワキワを命綱なしで歩かされるような、精神を削るようなギリギリの空気が否応なく作品の雰囲気を絞り上げていく。

恐るべし……金欠!!

いやあ、元々メインの羽々姫なんざ、とんでもない額の借金背負わされて、その返済のために金払いのイイ傭兵をやっているという筋金入りだったのですが、今回の金欠話は彼女個人の問題じゃなく彼女たちが所属する極東自衛機構という民間軍事会社の自転車操業についてのお話なので、かなり切羽詰まった話になっている。ぶっちゃけ、羽々姫個人がどれだけ借金が雪だるま式に増えようとも今の仕事を続けている限りはなんとか取り戻せる余地はあるんですよね。ところが、その返済計画の母体となるべき会社ごと潰れてしまった日には、完全に取り返しがつかないゲームオーヴァー状態になってしまうのです。

会社が突然倒産し、給料未払いのまま一文無し借金漬けで放り出されるこの途方も無い絶望感!!
ある意味、戦場で孤立し見渡す限りの怪物の群れに蹂躙されるしか無いという状況に匹敵するような悪夢!!
むしろ身近に容易に想像できるぶん、人類滅亡の危機よりも恐ろしい! というか、胃が痛い、キリキリ軋む!!
仮にも本土が“禍憑妃という妖獣に蹂躙され、今も多大な被害を出しながら侵攻を瀬戸際で防ぎ続けている、というデストロイな世界観で、これほど身につまされる絶望感を味わわされるとは、さすがは日常系と言うべきか。
……こんな日常系は嫌だw

ってか、どうやら業界全体が相当にカツカツな状態で回っているみたいだし、この軍事の民間委託って完全に失敗してないか? 会社の不渡りとか倒産で防衛線に穴があくとか、笑い事じゃないんですけどw

新キャラの聖天坂姉妹は、特に姉ちゃんの方が基本が高飛車お嬢様、素に戻ると貧乏くじ苦労性関西弁キャラという相反するキャラが上手いこと綯い交ぜになってて面白い!
レギュラー化しても上手いこと絡んできてくれそう。ぶっちゃけ、羽々姫と鳴々葉に加えてもう一人くらい不憫なキャラが欲しかったところなので、渡りに船であろうか。
出来れば中尉どのももっと出番欲しいところなんだけれどなあ、あのマスコットは。せっかく警備主任として着任してきてくれたわけですし、それなりに自然に登場しててもおかしくないと思うのだけれど。