魔王のしもべがあらわれた! III (電撃文庫)

【魔王のしもべがあらわれた! 3】 上野遊/一真 電撃文庫

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自称魔族のシュバルツリヒトに腹黒お嬢様・要、ロリっ娘エージェント・桜に虎耳娘の小虎…不幸体質な高校生・椎名明こと僕の家の居候は、ついに4人に増殖!しかも猫が苦手なシュバルツは、獣化能力を持った小虎を毛嫌いしているし、頭が痛い毎日を送っている。そんなある日、僕たち5人は要の提案で南の島へバカンスに行くことになる。海で遊んで温泉に入って…と一足早い夏を楽しむ僕らだけど、島に異変が起き始める。一人、また一人とメンバーが消え始めたのだ。その魔の手はついに僕にも襲いかかってきて!?魔王のしもべと贈る居候ラブコメ第3弾。
シュバルツはぺったんこー、なんだけれど決して幼児体型ではないんですね。この水着姿はスレンダーとして非常に良い色気を醸し出しているように思います。
そんなこんなで水着回。オチも含めて完全に幕間の回でありました。健気に懐いてくる小虎となかなか打ち解けないシュバルツをなんとか和解させたり、要がどうやら本気で明に好意を抱き出していたり、と改めてファミリーとなった五人の絆を深める方向に持って行きたかったんだろうし、その目論見は一定以上に達成はさせられているんだろうけれど、個人的にこの作品はもっと大きな戦争の後に訪れた平和の影に潜む社会的な歪みや悪意に、健全な善意や優しさで向き合いながら、一度引いた波が再び押し寄せてくるようにひたひたと近づく破滅、或いは再びの戦争の予感に備える、そんなそれなりの緊迫感や生真面目さが根底で佇み続けている事が特徴として生きているシリーズだと認識しているので、ここまで完全に弛緩しきってしまうと、他のゆるいラブコメとの差別化、或いは上野遊作品という色が薄れてしまいかねない、と危惧してしまう。
お遊び回として自体の質は標準以上に高く、普通におもしろいんですけどね。自分としてはこのシリーズには普通に面白い、以上のものを求めているだけに、少々物足りなくはありました。
とは言え、事故を通じて影響者としての能力を暴走させてしまい、今なお破綻し続けている要の妹や、自称魔族を名乗りながらその正体については結局不明なままだったシュバルツリヒトが初めて見せてしまった不穏な動き。など、先々の大きな展開に繋がる伏線となりそうなネタは随所に仕込まれているのです。特に、シュバルツの彼女自身無自覚な怪しい行動は、彼女の言動が実はかなり嘘偽りのない真実に近しいものだったのではないかと予感させてくれる。それに繋がり、幼い頃から明が常に不慮の事故に見舞われ続けてきた、という不幸体質にも人為の影がかいま見えてきた。
鍵は、椎名明の死、か。
次はデストロイの季節、と明言されてしまった以上、モラトリアムはここまでか。次に起こるだろう破綻の開始に期待したい。

しかし、桜ちゃんは見た目がロリっ子だというだけで、言動や普段の所作から内面描写は完全に大人の女性そのものなので、しかもロリバアアとか人外ロリと違って、普通に頼りになる社会人の女性なんで、あんまりちびっ子というイメージ湧かないんですよね。これが映像化されたらまた話は違うんでしょうけれど。
あと、小虎の健気さは完全に兵器レベルw ヤンチャそうに見えて、大人しい子猫みたな子だなあ。これで懐いているのが主人公だけならまだしも、要や桜、そしてシュバルツにもすごく懐いているので、愛玩レベルがたまらん領域に。これ、小虎に冷たいシュバルツが好感度ガタ落ちしてしまいますがなw

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