ノニアレ (ファミ通文庫)

【ノニアレ】 初心音コマ/ねりま ファミ通文庫

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少女に喰われ、少年は"人類の敵"になった--第13回えんため大賞最終候補作、衝撃のデビュー!

「きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの」月崎ルナは優しく告げた。
水乃ヒビキは同級生であるルナに喰われた。そして今、彼女の子として産まれたという。
戸惑う彼にルナはさらに語る。人間のように子供が欲しかったと。
神にも等しい力をもった少女の正体は、人類の敵 "破滅をもたらす者 "。
彼女を滅ぼそうと狙う人間を前にしてなお、人のように生きたいと願うルナのため、ヒビキは彼女を守る決意をする--新世代ヒロイック・ファンタジー登場!
まーた、ケッタイな。バトル物に走ったり家族モノ的な展開に転がって行ったりと、やってること自体はわりとありがちなベタな話ではあるんだけれど、根本のところで発想がぶっ飛んでる。授乳がシたかっただけじゃないですよね? 結局ヒビキとルナの関係がまったくラブコメ方面に流れること無く、本気で母子の関係に落ち着いていったのを見る限り、ラブコメを指向していたようではないみたいですし。ことラブコメについては、むしろマコトとの方が安定して進行していたきらいもありますしね。
ってか、ホントにこれ何が書きたかったんだろう。ルナとヒビキの関係を母子のものと書きましたけれど、実際はもっと共生的というか、人間以外の者が人間の擬態をして喜んでいるみたいな、超自然的な存在がエラーを起こしたような、ほんわかするよりもむしろいたまれないような、行き止まりに安息を見るような、ともかくやたらと不安定な気分にさせられる擬似家族なんですよね、これ。
バトルやラブコメや擬似家族モノという既存の外装で鎧っていますけれど、それをひっぺがして素肌かのそれを覗き見てみたい気持ちになった。実のところ、その中身はまだ定まっていない感じなんですよね。確固としたものとして立脚できないから、どろどろのスープみたいに凝り固まっていないから、よくある外枠に流し込んで格好をつけてみました、という感じを受けてしまう。その中身のドロドロの様子ときたら、恐らくひたすら無意識の海の底に潜っていくような、ある種わかりやすいライトノベルの枠組みを逸脱していくタイプのものにも思えるんだけれど、何れにしても形成に至る自己追求が現状殆どなされていない段階では、こういうわかりやすい枠で外装を整えるしかないんだろうなあ。
ともあれ、あの主人公の表明は恐ろしく表層的に過ぎていると思う。それが彼の本心であることは疑いないけれど、作品の本意だとすればいささか生温すぎる。
このまま特徴のない方に埋没していくか、それともひたすら尖っていくかはこれから次第なんだろうけれど、とりあえずもうちょっと語り口がこなれてこないことには、読んでる最中あっちこっちに引っかかって物語に集中できないので、頑張って欲しい。