まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (5) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 5】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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メイド姉の決死の演説はその場にいた人々を、そして世界を動かした。冬の国をはじめとした南部諸王国は中央への従属から独立を果たす。だが、世界のひずみが彼らに迫っていた。そしてその頃、魔王にも危機が――!

表紙は青年商人と辣腕会計。特に、青年商人はこの巻の実質的な主人公であり、作品全体でも有数の重要人物なので、彼が表紙を飾るのはまったくもって納得の一言。

激動 始まる!!

目に見える形では、南部諸王国連合の独立による人間世界の動乱こそが世界の激動を象徴いているようだけれど、その実戦争の勃発は氷山の一角に過ぎず、その海面下では凄まじい勢いと規模で価値観のパラダイムシフトが起こりだしているのであります。その端緒こそ前回のメイド姉の「人間宣言」であり、そこからこの物語の主人公は勇者と魔王という二人の特異点から、無数の人間・魔族へと移っていくのであります。貴族・軍人・貴族各師弟たちの勇躍であり、また青年商人と火竜公女の邂逅であり、様々な人達が誰かに与えられた役割を何も考えずに引き受けるのではなく、それぞれが個人に考えを巡らせ、世界を動かしだす、そんな激動の時代がまさにここから始まっているのであります。
見よ、世界の中心点が無数に拡大していく壮観な光景を。
そんな新しい世界の萌芽こそ、勇者と魔王が夢見目指したもの。それが、今や二人の手を離れて勝手に芽生えて成長していく光景は、感動すら覚えるものなのです。それを、この漫画はまた余すこと無く描き出している。
同時に、まだ魔王が即位する前から勇者との出会いを待ち望み、その胸に希望を滾らせて、その唯一無二のタイミングを待ち続けた回想を差し挟むことで、彼女が抱いた夢が芽吹きだしていく光景がより鮮明に、眩しく浮き上がっていくのであります。この回想の挟み方は、絶妙の間合いですなあ。
もちろん、まだ世界の変化は芽生え始めたばかり。ここから、またぞろ多くの試練や障害が待ち受け、変化を絶やそうと動き出すのです。どんどん凄いうねりとなって、激流は勢いを増していくのですが、漫画版でまたその感動を感激を味わえるのかと思うと、胸踊る心地ですなあ。
出来れば、アニメでも同じような感動を味わえたら、と期待をふくらませるばかりです。
そう言えば、女魔法使いはここが実質の初登場なのか? 勇者もデタラメだけれど、女魔法使いも相当に桁外れだぞ、これ。
次回は軍人師弟の見せ場。登場した当初はただの突撃軍人馬鹿だった彼の成長を刮目してみよ。

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